世界の貯蓄率からみた日本
日本人は貯蓄が得意なはずなのに、世界水準は最低レベル。社会問題もあるけれど、個人の取り組みは今のままでよいのか考えてみよう。
アメリカ…4.7
オーストラリア…9.7
ドイツ…11.0
フランス…16.8
日本…2.9
この数字は、2011年のOECD(経済協力開発機構)のデータ(一部抜粋)によるものです。計算の仕方は難しいので割愛しますが、数字が高いほうが貯蓄できていることを示します。確かに近年の不景気、貯蓄ゼロ家計の増加なども影響しているでしょうか、1994年には12.9あった貯蓄率の数字が、今や2.9の日本。これらの数字には社会保障、年金問題など個人では改善しようもない事柄も影響していると思いますが、個人でもできる改善策はないのでしょうか?
原因は過度の「将来への不安」
2011年、東京スター銀行が興味深い調査結果を公開しました。「日本、中国、米国の貯蓄に対する意識調査」です。その結果を見ていると、日本人は「将来のお金に対する不安」を9割以上の人が抱えており、自分の将来への期待度も他の2国と比較して低いということが明らかになりました。では、その不安解消のために日本人は何をしているのか? というと、実は空回り……ということも見えてきました。歴然と違う貯蓄目的の有無
今回の調査で、各国と歴然な差が出たのは「貯蓄の目的があるか」ということです。アメリカは71.3%、中国は54%の人が目的をもって貯蓄に取り組んでいるのに対し、日本は23.3%しか貯蓄に目的を持っていません。残る76.7%は、「念のため」。日本人は目的を持つことが上手ではないようです。それを反映するかのように、将来の人生設計を問うと、アメリカでは77.6%、中国では93.7%の人が何らかの人生設計を持っているというのに対し、日本は60.3%。残る39.7%の人が「人生設計はない、考えたことがない」と回答しています。これはほかの国よりもかなり多い割合です。
どうやら、このあたりが貯蓄に影響しているように思えます。私も日頃から貯金をするには何を買いたいとか、具体的な目標をあげようと話しています。やはり、目的があるのとないのとでは、貯金する効果が全く違ってきます。これは実際の場面で、私も実証済みです。