より快適になったドライブフィール
リアに搭載される新しい3.4リッター水平対向6気筒エンジンは、従来よりも小排気量化されたにもかかわらず、それを上回るパワーを誇る、最高出力257kW[350PS]/7400rpm、最大トルク390Nm/5600rpmを発生。0-100km/h加速は4.8秒、最高速度は284km/hをマーク。 燃料消費量とCO2排出量は先代タイプ997と比べて15%低減
エンジンは、911カレラが3.4リッターで350ps、911カレラSが3.8リッターで400psというスペック。トランスミッションは、カブリオレについては7速のデュアルクラッチ式のPDKのみとなっています。
今回、拝借したのはベーシックな911カレラカブリオレ。ベーシックといっても3.4リッターで350psありますから、いうまでもなく速さは十分。PDKがATのようにイージードライブと、MTと同等のダイレクト感と効率を両立し、MTを超えるシフトチェンジの速さを実現しているのはご存知のとおり。さらに、タイプ991のPDK仕様の特徴として、「コースティング」の採用が挙げられます。これは特定の条件下でエンジンとトランスミッションの接続を遮断し、エンジンブレーキによる減速を抑えることで、燃費を低減させるというものです。
ポルシェの最新モデルらしく、前方に向かって上昇する特徴的なデザインのセンターコンソールを採用。中央にレブカウンターを配した伝統の5連丸型メーターも911ならでは。メータパネルには新たに組み込まれた4.6インチVGAディスプレイにはオンボードコンピュータなどの情報が表示される
ドライブすると、従来モデルよりもフットワークが洗練されていることを実感します。ホイールベースの延長によりピッチングが抑制され、より上質な乗り心地となっていること、そして直進性や高速コーナリングでの安定性が増したことがわかります。
それまでよりもずいぶん良くなったと感じていた先代タイプ997と比べても、さらにリアの安定性が上がっています。もはやRRの駆動方式によるデメリットを意識させられることはほとんどありません。前身のタイプ996やタイプ997とは異質のドライブフィールです。
タイプ991では、走行速度にかかわらず、わずか2秒で上昇および格納を完了できる電動式のウインドディフレクターが新たに標準装備された。リアシートの背後に備わるため、手作業で着脱したり、どこかに収納したりする必要もなく、好みに応じて瞬時にウインドディフレクターを使用できる
また、一般的にオープントップモデルというのは、クローズドトップモデルに比べて、車両重量が増したり、ボディ剛性が落ちたりするものですが、このクルマがすごいのは、その度合いが非常に小さい点にもあります。クーペとなんら変わらない感覚でドライブできて、気の向いたときには爽快でオープンエアモータリングを満喫できます。
ウインドディフレクターを立てると、オープン走行時の風の巻き込みも非常に小さく抑えられます。とにかく全身がドライビングプレジャーの塊のようなクルマ。その中で、快適性や安定性といった要素が従来よりも大きくレベルアップしたというニュアンスです。そして、よくポルシェは「最新こそ最良」と評されますが、そのことをあらためて思い知った次第です。
エンジン本体はまったく見えなくなった