40代……残り20年の「出費」がほぼ確定してくることを知って備える
40代は、自分の「残り20年」の稼ぎ、自分の「残り20年」の出費、をある程度確定的に見積もることができます。住宅ローンと子どもの教育資金についてはかかる金額と時期がほぼ特定できるはずです。自分の定年までの年収についても、自分なりに見積もっていい時期です。過度な期待は禁物で、残り20年のやりくりを考えるため現実的可能性を直視しておく必要があります。住宅ローンは老後の家賃軽減のためにも意味のある資金投下ですから、できれば金利負担を軽減できるような早期返済プランを考えてみてください。
また、子の教育費については自分の老後の準備プランとバランスを考えつつ考える時期です。「子の教育費は親が全額出し、老後の不足は子に出してもらう」のは難しい時代に入っています。アメリカのドラマのように、子の大学学費は子に奨学金を取らせるのも選択肢として考慮すべきでしょう。
自分の貯蓄状況と出費状況を60歳まで概算してみれば「もっと節約して貯金を増やそう」というようなイメージが作れます。できるだけ現実的な目線で具体化していくことが必要です。40代はもう、根拠もなく役員になれる、と思う年齢ではありません(可能性がありそうな人はがんばっていいですが!)。目の前に具体的にある「幸せ」をしっかりつかみ取って老後にもつなげていくことを考えていきましょう。
50代……残り10年でできることをしっかり考え実行するラストチャンス
50代のひとがんばりは、自分の老後を確実にラクにしてくれます。50代の今の生活の充実はひとまずガマンしてでも、その後の幸せを優先したいくらいです。というのは、老後の時間が長期化する傾向にあるからです。90歳まで生存する可能性は年々高まっており、65歳リタイアとしても25年の期間があります。これだけの長さを「バラ色時間」とするか「枯れ葉時間」とするかは大きな違いです。しかし60歳を過ぎてから資産を増やしていくのは困難です。60代前半は仕事と生活費がトントンでしょうし、65歳以降も年金と生活費がトントンになり貯金は不可能です。「60歳まで」が資産を増やすラストチャンスだと気を引き締めていく必要があります。
ほとんどの世帯では老後資金準備は不足しています。それくらいの覚悟をもって、節約、貯金、運用(ただしリスクはほどほどに)を励む必要があります。贅沢は数年ガマンしてでも、がんばってお金を貯めることが「バラ色老後」につながります。年金の見込額などもほぼ実現可能性が高い数字が分かるようになります。財産の総ざらいもして、資産の上積みをしていきましょう。
何歳でも、今からでもバラ色老後を作る!
というわけで、日経新聞の連載ではあまり触れないであろう「30代以降」のバラ色老後のポイントをまとめてみました。いずれにしても、強く言いたいのは「あきらめたら、そこで試合終了だよ」ということです。これは年齢は関係ありません。どんな年齢でも老後資金準備を一歩進めるほどに、老後が一歩ラクになるのです。
つまり、何歳からでもバラ色老後を作る道は続いているということです。ぜひ老後資金準備をがんばってみてください。
→(参考: 「お金の知恵は45歳までに身につけない」)
※もう少し細かく老後のための資金準備方法を述べています