西巣鴨「土佐屋」

「土佐屋」の「いもようかん」(220円)と「水ようかん」(220円)

「土佐屋」の「いもようかん」(220円)と「水ようかん」(220円)

昭和13年創業のこちらの店は、都電荒川線「西ヶ原四丁目」の駅前すぐの場所にあります。大丸東京店で販売されるのは、「いもようかん」「水ようかん」の2種類ですが、本店でも、これ以外には蒸し羊羹やあんこ玉など数点のみで、お客様のほとんどは、この2種類のお菓子を目当てに訪れます。

元々は、初代の創業者・小野猶惠(おのなおえ)氏が、田端にあった同名の「土佐屋」(現在は閉店)で修業し、そこから暖簾分けされたそう。最初は西巣鴨駅前にお店を構えていましたが、20年程前に、現在の場所に移転されたそうです。現在は、息子さんでご兄弟の小野心一(しんいち)さんと利昌(としまさ)さんのお二人が、お店を守っていらっしゃいます。

「いもようかん」は10cm×2.5cm×4.5cmほどの、少し幅広のサイズ。「みずようかん」は12cm×2.5cm×2.5cmほどの、少し細長いサイズです。

こちらの「いもようかん」は、芋を濾しすぎると本来の旨味が無くなってしまうため、あまりつぶしすぎず、繊維感や粒々感をあえて少し残しているのが特徴です。食べてみると、まさに芋そのもの!というような素朴な味わい。上白糖を加えてはいますが、甘さもかなり控えめで、芋自体の甘さが活かされています。それでいて、喉に詰まるようなことはなく、なめらかでしっとりとした、食べやすい喉越しです。

一方、「みずようかん」は、よりしっかりした甘さがありますが、こちらはざらめ糖を使い、べたつかずすっきりとした後口。疲れた時に、美味しいお茶と一緒に一息つくのにぴったりの一品です。
「土佐屋」の暖簾を守る小野心一さんとお嬢さんの広井美子さん

「土佐屋」の暖簾を守る小野心一さんとお嬢さんの広井美子さん

「いもようかん」に使用する芋は、千葉県の信頼できる農家さんから直接届けられる物を使い、以前は「紅あづま」という品種のみを使っていました。昨年から、「紅はるか」という水分が多くねっとりと甘味のある品種もブレンドしたところ、よりしっとりと仕上がり、甘味も増して美味しくなったとのこと。ただ、この品種は夏場は収穫できないのと、1~2カ月寝かせないと甘味が出ないため、新芋が出来始める8月からしばらく後、秋頃からまた使い始める予定だそうです。

今回の大丸東京店オープンにあたっては、やはり水分が多くねっとりとした甘味で人気の高い「安納芋」を「紅あづま」にブレンドした「いもようかん」でスタートします。

実は、このように芋をブレンドするという新しい試みは、心一さんのお嬢さんの広井美子さんがお店の経営に携わられるようになってからだということ。「今はお客様も舌が肥えていらして、色々な美味しいお店を食べ比べされる方も多いので、新しいことにも取り組んでいきたい」というお二人。「私なら、こんなお菓子が食べたい」という女性ならではの鋭い感性で、老舗の伝統を守りつつ、新たな風を吹き込んでいらっしゃる美子さん。お父様、叔父様も心強いですね。

<ショップデータ>
■土佐屋
東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店地階
電話 03-3212-8011(代表)
営業時間 月~金 10:00~21:00、土日祝 10:00~20:00
定休日 無休(1月1日除く)

次のページでも、明治時代に創業した、百貨店初出店の東京の老舗店をご紹介します。他にない“最中”で有名な、あのお店です。