節約も運用も無理せず、楽しみながらが大前提
「資産を作ろう」と考えている人にとって、1000万円という金額は、ひとつの大きな1000万円という目標を達成する必勝法は?
「資産運用は、お金を増やすためにお金に働いてもらうことです。ただし、経済環境や相場環境によっては、増えるどころか減ってしまうこともありえます。そう考えると、運用資金が少ないうちは、無理をしてリスクを取ることは避けたいもの。一発逆転を狙って勝負に出たものの、すっからかんになっては、元も子もありません」
ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんは、こう説明します。では、これから資産運用を始める人は、どんな運用をすればいいのでしょうか。深野さんは、下の「5カ条」を提案します。なかでも大切なことは、「資産全体に占める投資の比率を高くしすぎないこと」と「貯蓄も投資も積立を上手に活用すること」です。
「資産全体に占める貯蓄と投資の比率は6.5対3.5まで。今のような経済も家計も先行きが見えにくい環境下では、投資の比率をこれより高くするのは、冒険のしすぎ、リスクの取り過ぎです」
また、「3.5」の部分、つまり投資の部分では、価格変動リスクを抑える効果が期待できる、投信積立の活用を勧めます。
「積立預金のいいところは、無理のない範囲でコツコツ続けられ、気づいたらまとまったお金ができていること。投資をする場合も、投信積立を利用すると、毎月同じ金額ずつ投信を買っていくので、基準価額が安い時には多く、高い時には少なく買うことになるので、価格変動リスクを抑える効果が期待できるのです」
投信積立に限らず、資産運用では、長く続けることも大切です。だからといって、ほったらかしは禁物。価格が大きく上がった時には、売って利益を確定しなければ、いつまでも絵に描いた餅のままです。
「投資というと値上がり益ばかりに目が向きがちですが、これからは、イザという時に備えてインカム収入を得ることを考えることが必要です」
次ページでは、資産運用を始める前にやっておきたい「大前提」のおさらいをします。
監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー) 取材・文/大山弘子 イラスト/竹松勇二
デザイン/引間良基