黄色ブドウ球菌

球菌

球形の菌を「球菌」と呼びます。

まずは、菌についてですが、菌をいろいろと分類する方法があります。菌を同定するのに使う染色方法としてグラム染色があります。菌の周りに夾膜という強い膜があると染色されず、強い膜がないと紫色に菌が染まります。

紫色に染まる菌をグラム染色法で陽性になるという意味で、グラム陽性菌と言います。一方、赤色のままですと、グラム染色では陰性と言う意味で、グラム陰性菌と言います。
次に、色に染まった菌の形で分類します。

すると、黄色ブドウ球菌は、グラム陽性球菌になります。丸い菌で、ブドウの房のように集まっていますので、ブドウ球菌と言います。培養していると黄色の色素を産生する菌も含まれるので、黄色ブドウ球菌と言います。

黄色ブドウ球菌による感染症

この黄色ブドウ球菌が体内に侵入することで、様々な病気を起こします。
  • 重症の肺炎
  • 肺の中で炎症のため組織が破壊され、空洞ができて膿がたまった状態である肺化膿症・肺膿瘍
  • 肺を覆っている膜に炎症を起こした胸膜炎
  • 胸膜炎によって胸腔内に膿がたまる膿胸
  • 血液中に黄色ブドウ球菌が侵入した菌血症
  • 菌血症によって心臓の中で感染を起こす心内膜炎
などの原因になります。

菌血症では、黄色ブドウ球菌が全身に侵入していますので、血液を介して、さらに、骨髄炎、腹腔感染症、関節炎、髄膜炎、脳膿瘍、尿路感染症などの全身感染症を起こします。髄膜炎、脳膿瘍は脳外科手術に関連して、腹腔感染症は腹部の手術に関連して発生することが多いです。

皮膚に感染すれば、表皮であれば、伝染性膿痂疹(とびひ)、汗の出す入り口での炎症である汗孔炎、さらに皮膚の深い部分で炎症を起こすと、汗腺炎、毛包炎、皮下組織での感染である蜂窩織炎、筋膜炎を起こします。

黄色ブドウ球菌が産生する毒素によって、ショックと発疹を起こすトキシックショック症候群(Toxic shock syndrome:TSS)、子どもに多く皮膚がやけどしたようにめくれるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS)、嘔吐や下痢を起こす毒素型食中毒を起こします。

このように様々な病気を起こす黄色ブドウ球菌には、抗菌薬による治療が行われますが、抗菌薬の効果に乏しい黄色ブドウ球菌があります。メチシリンというペニシリン系の抗菌薬に効果がない黄色ブドウ球菌を「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcau aureus:MRSA)」と呼びます。このメチシリン耐性黄色ブドウ球菌は、メチシリンだけでなく、多くの抗菌薬に対して、抵抗性を示すために問題になります。

次のページでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌について説明します。