疲労骨折とは……骨折の種類と疲労骨折の特徴
疲労骨折はスポーツの練習など、繰り返しの負担により起こります
■外傷性骨折……正常な骨に外力が加わり骨折が生じるもの。
■病的骨折……局所的な骨の強度低下のため軽度の外力で生じる骨折。例えば、転移性骨腫瘍、原発性骨腫瘍、可能性骨髄炎、多発性骨髄腫、白血病などが骨の強度低下の原因となる疾患です。
■疲労骨折……正常な骨に通常は骨折を起こさない程度の負荷が繰り返し加わった場合に生じる骨折。針金を同じ部位に、繰り返し曲げたり伸ばしたりするとその部位で針金が折れるのと同じ現象。スポーツの負荷が繰り返し同一の骨にかかる、マラソン競技などに発生します。
■脆弱性骨折…もともと強度が低下している骨に、日常生活程度の負荷で発生する骨折。強度低下の原因として骨粗鬆症、骨軟化症、長期透析、糖尿病、慢性関節リウマチ、アルコール摂取などが多く、発生部位は脊椎椎体、骨盤、大腿骨頚部によくみられます。
ほとんどの骨折が外傷性骨折、脆弱性骨折です。疲労骨折の頻度は高くありません。スポーツ選手にみられる珍しい骨折です。
疲労骨折の原因……陸上・サッカー・野球等のスポーツ
ほとんどスポーツが原因。陸上、サッカー、野球、バスケットボールなどあらゆるスポーツに発生する可能性があります。スポーツ別にみる疲労骨折の発生部位
骨折の発生部位は特定の競技によって異なる部位で発生します。- 脛骨…短距離走、バスケットボール、バレーボール
- 中足骨…長距離走、サッカー
- 有鉤骨(手根骨の一つ)…野球
- 中手骨…テニス
- 肋骨…ゴルフ、野球
- 上腕骨…野球(ピッチャー)
- 腰椎…サッカー
疲労骨折の症状……っ局所の疼痛・膨張・隆起
局所の疼痛がみられます。また骨折部位の腫脹、隆起などが見られることもあります。痛みの症状ですが、運動の始まりに痛みが強く出て、途中は痛みが軽くなります。運動終了時から終了後にかけて痛みが強くなります。運動を休んでいる間は痛みはほとんど出現しません。
疲労骨折の検査法・診断法
問診と診察でおおむね疲労骨折の診断は可能です。■単純X線
骨折の初期にはほとんど異常を示しません。骨折1ヶ月後程度で骨膜反応という骨折の修復により異常がわかります。
マラソン選手に発生した疲労骨折
■CT
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。
ハードル選手に発生した疲労骨折
■MRI
バスケットボール選手に発生した疲労骨折
■骨シンチ
長距離走の選手に発生した疲労骨折
上記の検査で正確な部位の診断が可能です。
疲労骨折の治療法……安静・リハビリ・手術
■安静疲労骨折がみつかった場合すぐにそのスポーツの練習を中止します。必要に応じ固定を行います。4週間から8週間までの固定が必要となる場合が多いです。しかしながら激しい負荷のかかる運動選手の場合、12週間から16週間までの安静が必要となることもめずらしくありません。
■リハビリ
安静期間のあとに徐々にリハビリを開始します。まずは運動を禁止して日常生活だけのリハビリを行います。この期間も何ヶ月もの時間が必要となります。
その後に徐々に運動を再開しますが、痛みが生じない範囲に制限する必要があります。疲労骨折の場合、同じ部位が再骨折する可能性が高いので慎重に運動を再開する必要があります。
■手術
転位の著しい疲労骨折の場合、手術が必要となります。ただし手術後のリハビリが最低6ヶ月間必要となります。