大人女性の浴衣にも合う! 実は優れモノの兵児帯
兵児帯といえば、少し前までは子供か男性のものというイメージでしたが大人の女性が活用できそうなものもたくさん出てきて、着物フリークとしても、ちょっと気になる存在になってきました。結び方がシンプルでラクなのはもちろん、使い方によっては浴衣だけでなく、着物のちょっとしたおでかけにも活用できる優れモノなのです。
【INDEX】
兵児帯(へこおび)とは?
大人女性の兵児帯の選び方
一味違う「リボン結び」
粋な印象の「パタパタ結び」
ふわふわになる「元禄結びアレンジ」
兵児帯(へこおび)とは?
兵児帯というとお子さんの浴衣帯のイメージですが……?
三尺帯とも言われ、元々は男性や子供の用いる扱き(しごき)帯の事を言いました。薩摩(鹿児島県)の兵児(へご)(15歳以上25歳以下の若者をいう薩摩地方の方言)が、主にこの帯を用いたことが名前の由来です。縮緬(ちりめん)・メリンス・新モス(しんもす)などの素材が多く用いられ、絞り染めにしたものが多くありました。これが東京に普及したのは明治15年(1882年)以降です。
もともとは男性や子供が浴衣や普段着に用いる帯だったものが東京に普及して以降、最近では女性のカジュアルな着物や、浴衣に用いる場合もあります。いずれにしても格の低いカジュアルな帯となります。
着物同様、帯にも格があります。帯を選ぶ時には着物との格のバランスを考えて選びます。着物の格とのバランスが悪いと、全体の格そして雰囲気がくずれてしまうこともありますので、注意してください。他の帯との比較は、記事「帯の種類と格」をご覧ください。
大人女性の「兵児帯」の選び方
今回使用したのは、KIMONO MODERNのしじら織りの兵児帯(ガイド私物)
兵児帯は、半幅帯などの上に飾りとしてする比較的軽くてふわふわした短めなものや、それ一本で帯としても結べるものなど、様々な素材や種類が出ています。大人の女性が活用するのなら、以下の2つをクリアしたものを選ぶのがおすすめです。
■長さ、幅が十分あるもの
ある程度の長さがある方が、結び方のアレンジに幅が出ます。具体的には4メートル前後あるとかなり応用が効きます。幅は35cm前後のものを選ぶと、2つ折りにして胴に巻くことができるので、1枚で巻くときにも安定します。
■張りのある生地(綿、ポリエステルなど)
生地自体に張りがある方が、結んだ時にボリュームが出やすく、兵児帯1本でもカタチが決まるので大人の女性におすすめです。素材でいうと、綿やポリエステルなどのものです。一方、サテンレース、オーガンジーやチュール素材の透けるふわふわした素材の兵児帯は、お子さんやティーン世代の方の浴衣用に、半幅帯の上に飾りとして巻いたり、2本使いやバラ結びのようなボリュームを出す結び方をする場合に選ぶといいでしょう。
一味違う「リボン結び」の結び方
兵児帯というと、双輪(もろわ)結び(=蝶々結び)が定番ですが、ある程度ボリュームと張りがある生地ならば、半幅帯風の結び方をすると新鮮です。ふんわりとした立体感があるので、華やかな後姿にしたい方におすすめの結び方です。帯の巻き始めを“テ”、帯結びの先を“タレ”と言います。テから70~80cmほど取って帯幅を半分に折り、肩に掛け、中央に当てます。
胴に2巻きします。巻く時は1巻きずつ引き締めながら行いましょう。
タレ側を斜めに折り上げます。
肩にかけていたテを下ろして、タレの先とひと結びします。
結び目を立てておくと、緩みにくくなります。
手を上に上げ、三重仮紐を掛けます。三重仮紐は振袖などの帯結びを簡単にするためのグッズとして、300~400円で売られているので持っておくと便利です。仮紐を用いることで、崩れにくくなる効果もあります。
たれの根元の帯幅を半分に折り、三重仮紐の一番手前側に挟んで引き出し、輪を作ります。
作った輪の中に、手を入れて下から少し引き、再びたれを広げます。
広げたたれを2番目の仮紐から引き出して、羽根を作ります。
3番目も順番に三重仮紐に挟んでいき、それぞれの羽根が均等になるように調整し、たれ先まで全部折ります。
左右に引っ張り、羽根を広げます。広げる位置を、左右交互にずらすとキレイに見えます。
作った輪の中に、手を入れて下から少し引き、再びたれを広げます。
広げたたれを2番目の仮紐から引き出して、羽根を作ります。
3番目も順番に三重仮紐に挟んでいき、それぞれの羽根が均等になるように調整し、たれ先まで全部折ります。
左右に引っ張り、羽根を広げます。広げる位置を、左右交互にずらすとキレイに見えます。
手で作ったリボンも広げて大きくします。
作った帯結びを壊さないように、襟元が崩れないように注意しながら、組紐と帯をいっしょに掴んで、左から右に向かって後ろに回します。三重仮紐の結び目は帯の中へ入れ込んで隠します。
鏡を見ながら整えたらできあがり。後姿が華やかになりますね。
横から見るとこんなできあがり。立体感を持たせると見栄えします。
テの帯幅を半分に折ります。
テを肩にかけ、真ん中に帯を当てます。
胴に2巻きします。巻く時は1巻きずつ引き締めながら行いましょう。
タレ側を斜めに折り上げます。
肩にかけていたテを下ろして、タレの先とひと結びします(※ここまではリボン結びと同じ手順です)。
三重仮紐を帯の上で結びます。
テを広げて、タレと重ねます。
三重仮紐の一番手前側に折り返した帯を挟み、羽根を作ります。
2~3番目の仮紐部分に、下側を折り返して挟んでいき、最後まで繰り返して挟んでいきます。
ここでコーディネートのアクセントとして、帯揚げを用意します。帯揚げは四つ折りにしています。
作った帯結びを壊さないように、襟元が崩れないように注意しながら、組紐と帯をいっしょに掴んで、左から右に向かって後ろに回します。三重仮紐の結び目は帯の中へ入れ込んで隠します。
鏡を見ながら整えたらできあがり。後姿が華やかになりますね。
横から見るとこんなできあがり。立体感を持たせると見栄えします。
一味違う「リボン結び」の結び方を動画でチェック
粋な「パタパタ結び」の結び方
三重仮紐や腰紐でパタパタと畳むだけの簡単な帯結び「パタパタ結び」を紹介します。 帯の巻き始めを“テ”、帯結びの先を“タレ”と言います。片手幅プラス肩幅ほどテを取ります。テの帯幅を半分に折ります。
テを肩にかけ、真ん中に帯を当てます。
胴に2巻きします。巻く時は1巻きずつ引き締めながら行いましょう。
タレ側を斜めに折り上げます。
肩にかけていたテを下ろして、タレの先とひと結びします(※ここまではリボン結びと同じ手順です)。
三重仮紐を帯の上で結びます。
テを広げて、タレと重ねます。
三重仮紐の一番手前側に折り返した帯を挟み、羽根を作ります。
2~3番目の仮紐部分に、下側を折り返して挟んでいき、最後まで繰り返して挟んでいきます。
ここでコーディネートのアクセントとして、帯揚げを用意します。帯揚げは四つ折りにしています。
帯揚げの三つ折り・四つ折りの図解
羽根を全部下ろします。
作った帯結びを壊さないように、襟元が崩れないように注意しながら、組紐と帯と帯揚げをいっしょに掴んで、左から右に向かって後ろに回します。正面に来た三重仮紐は帯の中に入れ込んで隠し、帯揚げは「帯揚げの結び方」を参考に結び直しましょう。
帯揚げを帯の中に入れ込み、チラリと見える差し色にしましょう。
羽根部分を整えたらできあがり。スッキリとシンプルな印象なので、オトナっぽい後姿にしたい方におすすめです。
横からの後姿も粋な印象です。
兵児帯の「元禄結びアレンジ」の結び方
最後に、半幅の帯結びでポピュラーな元禄結びを少しアレンジした結び方も紹介します。同じ結び方でも兵児帯で結ぶと、違った雰囲気になります。・浴衣の帯の結び方(元禄結び)
ふわっとしたお太鼓を作る
(帯の結び方【名古屋帯/利休】8.9参照)
張りのある生地を選ぶ事も大切
兵児帯は、半幅や普通の帯と違って芯が入っていないので自由になる半面、緩みやすく崩れやすいので注意しましょう。必要であれば、仮紐や前板などを用いてしっかりと締めておくことも大切です。半幅帯を結ぶよりもずっとラクな注目の兵児帯で、浴衣だけではなく夏の着物や浴衣を気軽に楽しんでみてはいかがでしょう。