うつ病、失業、離婚、自殺率、経済損失

病気による日本の経済損失金額は、なんと3兆3,600億円!

2011年10月~11月、在日米国商工会議所が、日本の「病気による経済と生産性への影響」をオンライン調査しました。対象は、居住地域、年齢、男女比において、日本人の人口構成比を代表する5,000名です。病気による経済と生産性への影響とは、病気による欠勤や早退、病気が原因で失業や転職を余儀なくされたり、退職して経済的に損失をすることです。

病気による年間損失金額は3兆3,600億円

日本人が自分の病気で失う金額は、年間合計2兆円。家族の病気が原因で失われる金額は、1兆3,600億円。日本では、病気によって年間3兆3,600億円の損失を出しているそうです。平成23年度の日本国の税収+税外収入が50.4兆円ですから、国の収入の6.6%は、病気が原因で目に見えない損失をしている計算となります。

経済損失が大きい病気の第1位は精神疾患、第2位は痛み

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厚生労働省が調査した国民生活基礎調査では、男性の悩み症状の第1位は腰痛

経済的損失が大きい病気の第1位は、うつ病などの「精神疾患」でした。その経済的損失金額は、なんと年間1兆円! 第2位は、「痛み」。年間3,700億円が痛みによって失われる結果でした。以下、3位は感染性ではない慢性病、4位はウイルスや細菌感染症、5位はケガによる身体障害と続きます。

最近では、精神疾患であるメンタルヘルス問題が社会問題として大きく取り上げられるようになりました。会社でメンタルヘルス対策室を設けたり、カウンセラーや精神科医と協力して治療する取り組みが始まっています。

しかし、勤労意欲はあるのに痛みで働けない経済的損失問題は、まだ十分対策がとられていません。痛みの慢性化による社会経済的損失に対し、国は2011年度予算に、初めて慢性の痛み関連科学研究費1億3,000万円を盛り込みました。

痛みで家庭崩壊も!?

痛みは、社会的な経済的損失だけではなく、個人としての生活の質も落とします。痛みを慢性的に抱え込むと、自殺率の上昇や10年生存率を低下させるなどの医学的論拠が出ています。痛みの慢性化で、休業や失業によって思うように働けないイライラ、抑うつ状態をきたす場合もあります。痛いのが嫌だからと体を動かさずじっとしていると、骨や筋力が低下し、転倒や骨折の可能性を高めます。

さらに、痛みによる職場と社会性の喪失は、家族関係を破綻させる原因となります。経済的困窮から家庭内不和、離婚問題、家庭崩壊が生まれます。長引く痛みは再就職を困難にし、さらに自分を追い込んでしまうことがあります。会社の上司から、「本当に痛いの? さっさと治してきて」と、プレッシャーをかけられたり、家族から、「あなたに、もっとがんばってもらわなきゃ困るのよ」と言われたらどうでしょうか。その痛みの苦悩はさらに増幅し、新たな痛みを引き寄せ、痛みの重症化、慢性化の要因となります。一方で、痛みを抱えた人が、痛みのストレスを家族や周囲に爆発させ、パートナーに八つ当たりしていたらどうなるでしょうか。きっと家庭崩壊を加速させ、更なる社会的孤立を深めることでしょう。

慢性の痛みは情動が絡んで複雑化する

慢性化した痛みは、単純に傷があるから痛い、という問題ではありません。確かに、痛みを初めて意識したときは、単純な痛みだったのかもしれません。しかし、痛みが長引き慢性化し、社会的にも個人の生活にも影響を受けた場合には、「痛み」は、すでに体の単純感覚ではなく、情動の要素が深く絡んでいます。

慢性化した痛みは、薬物治療単独ではなかなか治りません。理学療法や運動療法、神経ブロック療法、代替補完療法などを組み合わせて、総合的に治療していくことが大切です。痛みをがまんして放置せず、難治性の慢性痛になる前に、ペインクリニックなど専門病院で痛みの治療を積極的に受けましょう。

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