日本のED(勃起不全、勃起障害)人口は、中等症(ときどきできない)と重症(ほぼ常にできない)を合わせると、約1130万人と推計されています。軽症(たまにできない)を加えるとその数はさらに増えるはずです。

EDは男性の代表的な性機能障害のひとつですが、特に心理的な理由によるものの場合には、治療の第一選択になっているED治療薬が有効です。

ED治療薬第一号のバイアグラが米国で発売されてから14年。ED治療薬を服用した人の約7割に効果が認められるとされていますが、一方でEDにまつわる迷信や都市伝説が流布しているのも事実です。

今回は、代表的な噂を検証してみましょう。

 

「自慰ができるなら、EDではない」?

叩こうが引っ張ろうがまるで反応しないのならいざ知らず、ちゃんと朝立ちがあり、自慰で勃起し射精もできるので自分はEDではない、と思い込んでいる人は少なくありません。

しかし、EDは「性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起が維持できないために満足な性交が行えない状態」と定義されています。つまり、EDかどうかの決め手は「性交」が可能かどうかということです。

ですから、自慰で勃起や射精が可能であっても、異性とのセックスができなければEDが疑われるのです。自慰ができるかどうかは残念ながら、EDの判断基準にはなりません。

このように、体には特に異常がないのに必要なときに勃起できないものを「心因性ED」または機能性EDと呼びます。このタイプにはED治療薬がよく効きます。
軽症の場合には、ED治療薬で自信を取り戻すことで、EDが完治する可能性が十分にあります。

 

「ED治療薬は快感を強めてくれる薬である」?

性的な快感は脳の担当。ED治療薬の服用で快感が強まることはない

性的な快感は脳の担当。ED治療薬の服用で快感が強まることはない

ED治療薬の主成分は、陰茎の海綿体に存在する「PDE-5」という酵素の働きを押さえ込むように作用します。PDE-5には陰茎を萎えさせる働きがあるので、それを妨げることで、勃起の状態を持続させようというわけです。

一方、快感は脳で覚えます。ED治療薬が働きかけるのは陰茎の動脈ですから、脳に影響を及ぼすことはありません。従って、ED治療薬を服用したからといって、快感が強まったり弱まったりすることはありません。

もしも、快感が強くなったと感じるようなら、得をした気分になるかもしれませんが、それは思い込みによる一種の錯覚です。

また、長い間飲み続けていると、だんだん効かなくなるという噂がありますが、薬学的なメカニズムから考えても、長期使用で効果が低下することは考えられません。

 

「自転車ばかり乗っているとEDになる」? 

自転車競技の選手と水泳選手を比べると、自転車競技の選手のほうがEDが多かったという調査結果があります。これは長時間サドルに座り続けることによって会陰部(股の奥の部分)が圧迫されるためだと考えられます。会陰部が圧迫されると動脈に部分的な閉塞や狭窄が起こり、海綿体に十分な血液を送り込むことができなくなるからです。

ただし、問題となるのは、毎日長時間自転車に乗るような人の場合であり、近所への買い物や通勤時に駅まで利用するといった程度では心配ありません。むしろ、サイクリングのような適度な運動は血行を促し、ストレス解消にも役立ちます。

最近は真ん中の部分を凹型にくぼませたサドルも販売されているので、気になるようなら専門店を訪ねてみるとよいでしょう。

 

「ED治療薬は飲酒後に服用すると効かない」?

過ぎたるは及ばざるが如し。過度の飲酒はED治療薬の効果を妨げることも

過ぎたるは及ばざるが如し。過度の飲酒はED治療薬の効果を妨げることも

どんな薬でもアルコールとの併用は避けたほうが良いのですが、少量の飲酒であれば、ED治療薬の効き目にはあまり影響ありません。

ED治療薬は勃起を助ける薬ですから、効果が現れるには大脳を性的に興奮させる必要があります。しかし、飲み過ぎると大脳の興奮が抑えられるため、性的な興奮まで抑えられてしまい、勃起しにくくなることがあります。実際、ED治療薬が効かなかったと訴える患者さんには服用前後に過度の飲酒をしていた場合が多く見受けられました。

少量のアルコールは気分をリラックスさせるので有効です。ただし、アルコールには血管を拡げる作用があるのでED治療薬との相乗効果でさまざまな副作用が起こる可能性もあります。

アルコールはセックスの場面でプラスに作用する場合とマイナスに作用する場合があります。くれぐれも度を超さないように気をつけましょう。


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