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犬の健康を守るワクチンにも副作用が 原因や症状

ワクチンは感染症から愛犬の体を守るためのもの。しかし、そのワクチンにも副作用があります。ワクチンと免疫の仕組みや、副作用の原因、症状、発生率など、飼い主が知っておきたいワクチンの副作用についてまとめました。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

ワクチンの種類や効能、副作用について知っていますか?

ワクチン

愛犬に接種しているワクチンの種類や効能、副作用などについては知っておきたい

あるペット保険会社が2012年にペットの健康管理意識についてアンケート調査(n=1,579)を行ったところ、「混合ワクチンを接種していますか?」という質問に対して犬では71.2%の人が「1年に1回接種している」と答え、「数年に1回」が17.2%、「接種したことがない」というのが7.8%、「わからない」が3.9%でした。

また、「混合ワクチンの種類や効能、副作用を知っていますか?」という質問に対しては「知っている」が24.4%、「副作用は知らないが、種類や効能は知っている」が38.7%、「種類だけ知っている」は13.0%、「知らない」が23.9%という結果に(*1)。

別のアンケート調査(n=1038)では、「1年以内にワクチン接種をしましたか?」という質問に対して、混合ワクチンの場合は「はい」が68.3%でしたが、年代別に見ると20代のオーナーによる接種率がもっとも低く(62.7%)、かつ「わからない」という回答はもっとも高い(19.8%)という結果になっていました(*2)。

こうしたアンケートに答える人はペット飼育に対してそれなりに意識をもつ人たちのほうが多いでしょうから、ワクチン接種率も高めになっているのだろうと思いますが、実質的にはもう少し低いのではないかと思われます。しかし、それにしてもワクチンについて何も知らないまま愛犬に接種している人が意外なほど多いということが気になります。

人間同様、ワクチンには効果が期待できる半面、副作用もありますので、大切な愛犬に接種する以上、基本的なことについては知っておきたいものです。


ワクチンとは

そもそもワクチンとはなんでしょうか? その前に、免疫のお話を少し。

本来、体には異物(抗原)が体内に入ってきた時に、それを排除しようとする力が備わっています。自分の体という国を守るために、体内には二段構えの防衛部隊が常駐しているのです。

第一部隊は「自然免疫系」と言われるもので、その後ろに控える第二部隊は「獲得免疫系」と言われるもの。

異物である敵(この場合ウィルス)が侵入してくると、まずは第一部隊が闘いを始めます。兵士にはマクロファージや顆粒球(ともに敵を食べて殺す力がある)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞/ウィルスに感染した細胞を破壊する力がある)などがおり、防衛に努めますが、思った以上に手ごわい敵であると、第二部隊の司令官であるヘルパーT細胞に向けて敵が侵入したことをマクロファージや顆粒球が知らせるとともに応援を要請します。

ヘルパーT細胞はその連絡を受け、自らの部隊の兵士であるキラーT細胞に敵と闘うように命じ、感染した細胞を破壊させるのと同時に、B細胞という兵士たちには敵に対抗できる抗体を大量につくるよう指令を出します。

この第二部隊には特殊な能力があり、敵の情報を記憶できるのです。ですから、再度同じ敵がやってきた場合、闘い方を心得ている分、敵を退散させることができるというわけです。一般に「免疫ができた」というのはこの状態のことを言います。

牛痘という病気に罹ったことがある人は天然痘には罹らないか、罹ったとしても症状が軽いということにヒントを得てワクチンというものを発明したのはエドワード・ジェンナーであるというのは有名な話です。ワクチンは生きたウィルスや細菌を弱毒化(生ワクチン)、または感染性を失わせたり、その成分を使ってつくったもの(不活化ワクチン)などを人為的に接種することで前もって体の中に抗体をつくり、感染症に対して抵抗できるだけの部隊を育てておくということになるわけです。

補足として、獲得免疫系には液性免疫と細胞性免疫というものがあり、前者は細胞の形はもっておらず、分子の形で血液中や体液中に存在し、子犬が母犬の初乳を通じて得る移行抗体はこれにあたります。


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