「A-standard」誕生
今春、新しいマンションブランドが誕生した。関西圏で鉄道運行を中心に様々な事業を手掛ける京阪電鉄グループ京阪電鉄不動産の「A-standard 渋谷桜丘」・「A-standard 本郷三丁目」である。ブランド名にある「A」は、何かを特定する意を持つ「The」と違い多くの存在の中のひとつひとつという意で、そのひとつひとつの受け皿になりたい。そして「A」はアルファベットの先頭の文字であることから、これからあるべき姿を目指す先頭に立つという意味が込められているとのこと。率直なところブランドコンセプトは言葉にするとこのように抽象的で、どんな解釈でも可能な表現に感じられる。しかし、この「A-standard」に盛り込まれた具体的な提案には、「住まいはそこに住む人のため」という“あるべき姿”に立ち帰るためのアイディアが盛り込まれているのがわかるはずだ。「A-standard」が掲げる5つの約束
都心にも求められる「コミュニティ」の重要性
東日本大震災以降最もクローズアップされた言葉のひとつは「絆」であろう。言い換えれば“人とのつながり”や“共生”であり、個人主義的な傾向が強かった世間の風潮に大きな変化が現れたと言える。家庭・近隣・職場など様々な場面でコミュニティ形成の重要性が説かれ、積極的なコミュニケーションが図られている。ここでポイントとなるのが、こうした行動・活動が“自発的に”行われているということである。あくまでも個人個人の自由意思でのコミュニティ参加なのである。「A-standard」の最大の特徴は、このコミュニティ形成を促す仕掛けにある。とはいえそんな大それたことではない。ごくシンプルに説明すれば、エントランスからすぐの共用スペースに大きなテーブルを用意したのである。そこは家に帰る時、外出する時に必ず通る場所であり、もし隣人がいれば世間話が始まるかもしれない。また様々な種類の書籍・雑誌が揃うライブラリーや24時間利用できるコーヒーベンダーがあり、そしてWi-Fi環境も整っているので、“ちょっと立ち寄りたくなる”スペースでもある。
中心に大きなテーブルを配して、住人が集いやすい場に「A-standard 渋谷桜丘」コモンスペース完成予想CG ※図面を基に描き起こしたもので、実際とは異なります
さらに付け加えれば、当初1年間は事業主負担でコミュニティ形成促進の一助となるよう様々なイベントなどの企画提案や、掲示板やソーシャルネットワークを利用した情報共有を行う予定。こうした試みはこれまでも郊外型ファミリータイプの集合住宅などで散見されたものだが、都心の小家族向けタイプでは全く記憶に無い。「A-standard」が共用スペースの仕掛けに加えてこうしたサポートを取り入れたところに、「都心」「小家族」ならば“個人主義的”といったステレオタイプな従来型発想とは違った住まいのあり方に対する思いがあると言える。
かつて駐輪場とエントランスホールを兼ねた共用スペースがあっただろうか? 「A-standard 本郷三丁目」コモンスペース完成予想CG ※図面を基に描き起こしたもので、実際とは異なります
大きなテーブルの下には個別のロッカーを設置「A-standard 本郷三丁目」コモンスペース完成予想CG ※図面を基に描き起こしたもので、実際とは異なります
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