Ferrari(フェラーリ)/Ferrari(フェラーリ)の車種情報・試乗レポート

バックシャンなリアルスポーツ、458スパイダー(2ページ目)

V8エンジンMRモデルの4世代目オープンは、従来リアルスポーツが敬遠してきたリトラクタブルハードルーフを採用。ところが、そのリアセクションは文句なしのバックシャン。スーパーカー世代にはたまらない、トンネルバックスタイルである。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

スーパーカー世代にはたまらない、トンネルバックスタイル

フェラーリ458スパイダー

リアのエアインテーク開口部分はクーペよりも大型化され、オイル・ラジエーターの冷却以外に、エンジン・インテークとしても機能する。前後重量配分は42:58

フェラーリ458スパイダー

リトラクタブル・ハードルーフは素材にアルミニウムを用い、従来のソフトトップより約25kgの軽量化を実現した。2分割されたルーフは180度回転、重なって収納される

筆者も、ハードルーフオープンには抵抗を感じるひとりである。アンダー500万円の4座オープンなら、日常性や精神性を考えて、スタイルや走りに妥協しハードルーフも“アリ”だろう。高級スポーツカークラスではM・ベンツSLがハードルーフオープンを採用しているけれども、あれは基本、GTロードスターであり、しかも2シーターだからスタイルの崩れも最小限。何より、元祖ハードルーフオープンであることがSLクラスの個性だ。

なるほど、2シーターミドシップの小さなルーフなら、FR車よりも、きれいにまとめることもできるだろう。きっと、フェラーリの確信はそのあたりにあるのか、と思って、発表当時、資料を読み込んでみれば、やはりそこには、開閉ルーフシステムそのものがソフトトップシステムより軽く作れたという、自信に満ちたコメントがあった。

とはいうものの、実物を見てみて、そのパフォーマンスを確かめて云々する以前に、まずはスタイルにしびれてしまったのも事実だ。顔つきはクーペと同じだから、あまり好きなタイプじゃない(ケレンみが強過ぎる……)。けれども、スパイダーの新しいリアセクションには、文句ナシに惚れてしまった。バックシャン……。スーパーカー世代にはたまらない、トンネルバックスタイルである。名車ディーノを彷彿とさせる雰囲気で、泣かせる。ハードルーフオープンでも、天板さえ小さくまとめられ、収納に工夫がこらせるというのであれば、純粋なクーペより格好よく作ることもできる、というわけだ。

重量増はたったの50kg

フェラーリ458スパイダー

F430スパイダーではエンジンフードにガラスが用いられていたが、今回は機能とフォルムが優先され“エンジンが見えない”デザインとなった

クーペと同様に、アルミニウムボディをもち、今回初採用となった回転式リトラクタブルルーフもまたアルミ製で、全体での重量増は、50kgに留まる。設計の当初からクーペ/スパイダーの両方を同時進行する、というのは360スパイダー以降の定石だが、それでもオープン化によるボディ剛性の低下は免れない。

もっとも、そもそもクーペ(458イタリア)の剛性が驚くほど高いものだから、そこから3割強くらい低下しても、絶対値は十分といえるかもしれない。もちろん、オープン状態での走行性能レベルを維持するために、アシ回りのセッティング変更やアルミ骨格の強化などが行われている。

ミドに搭載されるのは、車名の数字が表すとおり、4.5リッターのV8自然吸気エンジンで、フェラーリの他ラインナップと同様、直噴ヘッドを組み合わせた。最高出力578psは、もちろん、V8MRフェラーリロードカー史上最強。組合わされるミッションには、最早、3ペダルマニュアルの用意はなく、2ペダルの7速デュアルクラッチ式のみ。その他、基本的な仕様やスペックは、クーペのイタリアに準じている。
フェラーリ458スパイダー

ステアリングに操作系スイッチ類がまとめられ、エンジンスタートや走行モードが選択できるマネッティーノスイッチなどが備わる

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