【第3位】
軽やかでまろやか。ふんわり心地いい天女の歌声
大口径70mmユニット搭載のフルオープンエア型 ソニー MDR-MA900
装着した瞬間ビックリ。軽い! そしてふんわりと優しい! ゴツさや力強さをまったく感じさせないデザインそのままのかけ心地です。聴き疲れとは対極にあるモデルですね。約195gと軽量で、長時間、音楽を快適に楽しめる
試聴時間が2時間、3時間と進むにつれ、このヘッドホンは音と対峙するのではなく、音と共生するという思想から生まれたんじゃないかな、という意を強くしました。
70mmという大口径や、低音を耳孔方向に集中させることで自然な量感を確保する「アコースティックバスレンズ」構造など、やる気満々のメカニズムは目を惹きます。でも出てくる音には、ワイドレンジやパワフルさをアピールしてはいません。
重低音は、周波数が低くても軽い感じ。巨大な塊がふっ飛んでくるような力強さは希薄で、頭の周りを静かに包み込むような浸透力のあるタッチ。でも、オープンエアタイプにありがちなスカスカさはないのでご安心ください。
高音はちょっと大人しめ。風のような軽やかさはあるのですが、キレ味や輝き、伸びやかさで迫ってくるタイプではないです。四季の日射しで言えば春。暖かく優しく、ふかふか。
イルカや谷山浩子などの女性ボーカルは、遠すぎず近すぎずで適度に生々しい。谷村新司や村下孝蔵などの男声ボーカルも体温が伝わります。何でそんな古いソースを、とお思いでしょうが、そういう青春時代の音楽をつい聴きたくなる居心地の良さがあるのです。この気負いのなさは貴重じゃないでしょうか。
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