季節のフルーツパイ(290円)
毎日焼き上げられ、冷蔵ショーケースの上に並ぶ「フラン」や「モワルーショコラ」といった素朴な焼きっぱなし菓子は、特別な日だけでなく、ご近所のお客様に気軽に毎日召し上がってほしいという竹内シェフの思いが込められています。この「季節のフルーツパイ」もその1つ。その時期に美味しい果物を使うので、日によって何がのっているかはお楽しみ! 私がいただいた時は、サクサクのパイ生地に杏がたっぷり! さわやかな酸味がなんとも言えませんでした。
「フィナンシェ キャラメル」(210円)、ケーク バナーヌ(210円)、マカロン(3個入490円)
人気の高い焼き菓子の一つ、フィナンシェはプレーン、ショコラといった味もあり、それぞれ美味しいのですが、私のイチオシは「キャラメル」。ご覧ください、カットした時のこの濃いキャラメル色を! しっかりと香ばしく焦がしたキャラメルをベースにして、表面に粒塩をのせているのも味を引き締めるアクセントに。
少し小ぶりの可愛らしいマカロンも、袋入り3個セットで販売。こちらはフランボワーズです。他にもバニラ、ショコラ、キャラメルサレなどがあります。
シンプルにバタークリームを挟んだタイプのため要冷蔵で、日保ちも短めです。冷蔵庫から出してほんの少し常温に置いてからいただくと、ほろっとした口どけと、ふわっと香るクリームのやわらかさを楽しむことができます。
生地を焼き切って乾燥した状態にせず、しっとり感を残したいので、高温で焼き上げるのが竹内シェフのこだわり。ただ、そのために焼き色がついてしまいやすいのですが、竹内シェフはできるだけナチュラルにと、人工的な色粉などは使わないのだそう。パステルカラーがやさしい印象の、女性らしいマカロンです。
最後に、なぜ、東京に移転されたのですか?と竹内シェフに質問したところ、
「絶対に東京でやろうと思っていた訳ではなく、美味しいお菓子が作れれば、場所はどこでもよかったんです。初めは、大阪で移転場所を探していました。ただ、東京の方が、作りたいお菓子の幅は広がるかなという思いはありました」とのこと。
そして、高輪のこの場所は、本当に偶然の出会いだったのだそうです。たまたま、ご家族の中に東京にお住まいの方もいらっしゃったそうですが、この近辺をよく知っていた訳ではない、という竹内シェフ。それならば、決め手となったのは……?
「実際に見てみて、気に入ったんです。お店の前にバス停もあり、チャペルもあり、警察署もあったり。ずっと、住宅街の中がいいなと思っていたんです。日常にとけ込んだお店にしたかったので」とのこと。その言葉どおり、毎日、お店の前のバス停で乗り降りするお客様が多数いらして、何のお店だろうと店内を覗いたり、ドアを開けてみたり。少しずつ確実に、地元の方に根付いている手応えが感じられます。
東京でオープンしてみて、関西との違いを感じることはありますか?と伺うと、大阪の頃は固定のお客様が多くいらして、たくさんの個数をまとめ買いされる方が多かったけれど、東京では、ひとまず味見をというお客様がまだ多く、1個、2個といった少量で買われることが多いそう。その中でも、関西の頃にはシンプルなケーキが人気だったそうですが、東京では、たとえば「キャラ ドゥー」のように、様々な層を重ねたような少し凝った物、珍しい物を求められる傾向があると感じていらっしゃるそうです。価格が少し高価でも、どんなケーキなの?とかえって興味を持たれて試していただけるという一面もあるそう。その分また、表現されたいお菓子の世界も広がっていきそうな気配ですね。
東京での新たなスタートを切り、試行錯誤を続けながら前進していく「パティスリー リョーコ」。今後にますます期待です!
<ショップデータ>
「Patisserie Ryoco」(パティスリー リョーコ)
住所:東京都港区高輪3-2-8
電話:03-5422-6942
営業時間:10:30~19:00(なくなり次第閉店)
定休日:水曜、木曜