東京23区で戦災被害が少なかった、
かつての街並みが残っていそうなエリアは?
●港区南麻布周辺から渋谷区広尾にかけて。広尾の商店街の裏手には古い住宅が残されてエリアが残されており、商店街には銭湯も。今ではしゃれた雰囲気のある街ですが、元々の広尾の姿は裏路地に残されているわけです。
文京区西片の古い家。高台にあり、公立ながら人気のある小学校もある
●文京区西片町など東京大学周辺。西片町は備中福山藩(広島県福山市)の阿部家の中屋敷だったエリアで、明治5年以降、宅地となった場所。夏目漱石の「三四郎」にも登場する街で、今でも明治、大正の建物が残っています。ただし、一戸建てエリアのため、借りるとしたらかなりの賃料になるはず。物件自体も希少です。
鬼子母神参道には昭和初期に建てられたという建物を利用してカフェや地元の観光案内所などができている
●文京区護国寺から豊島区雑司が谷、文京区関口にかけて。雑司ヶ谷では駅近くが被災していますが、参道付近は被災しておらず、ケヤキ並木などに当時の面影を見てとることができます。 通りから入ったところには、かつて手塚治虫さんが住んでいたアパートもあります。
●現在の大田区の一部に当たる大森区では大森駅の内側、山王から馬込辺りの被災が少なかったようですが、かなりまだらにあちこちで被災しており、集中してどこが残っているとは言い難い状況です。ここもお屋敷の多いエリアです。
私の地元祐天寺でも長らく空き家になっていたたばこ店を利用した古民家ショップ、レストランが登場。周辺には古い物件も多く残っている
●目黒区は目黒駅、中目黒駅、武蔵小山駅、学芸大学駅(当時は青山師範前)など駅周辺が狙われたようで、それ以外の場所は比較的被災が少なく、特に碑文谷から南はあまり被災していません。私が住む祐天寺も含め、意外に古い住宅が残っているのはそのせいでしょう。 最近ではそれらを改装した店舗、住宅も出てきています。
三軒茶屋は駅前周辺はもちろん、世田谷線沿線にも古い物件が多く残されている
●当時の35区中、板橋区などに次いで被害が少なかったのは世田谷区。現在は渋谷区になっている笹塚、代田橋周辺と区内の池尻、三宿などで多少被災している程度でそれ以外はところどころに赤い部分があるだけ。その分、世田谷区は道路整備が進んでおらず、防災上は問題もあると言われています。住宅という意味では谷根千エリアほど風情のある時代の建物は少ないものの、昭和の建物であればけっこう残されています。
代官山で見かけた蔵のような建物を生かしたショップ
●渋谷区は広範なエリアが被災しており、被害がなかった場所はお屋敷街である代々木上原駅周辺の西原や大山、渋谷駅近くの桜丘町、鶯谷町、猿楽町の一部など。代官山の路地を入ったところに古いアパートなどを利用した店舗があるのは、そのためでしょう。
次のページでもさらに
新宿区や中野区、杉並区などを見て行きます。