厚生労働省が16歳~49歳の男女3000人に行った「第5回男女の生活と意識に関する調査」(2010年9月)では、「この1カ月間のセックス回数は?」との問いに、45.3%が「しなかった」と回答しました。草食男子の存在が見え隠れしているようです。
草食男子やセックスレスカップルの増加傾向を踏まえて、「この人たちが一斉にセックスに励めば、少子化問題は一気に解消する」と唱える産婦人科医もいます。
こうした人たちとは一線を画するのが、「セックスに興味はあるのに、実践の場面では思うにまかせない」、ED(勃起不全、勃起障害)の悩みを抱える患者さんでしょう。
EDがセックスレスの原因になることも
日本性科学学会は、セックスレスを「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1カ月以上ないこと」と定義しています。セクシュアル・コンタクトには、キス、ペッティング、オーラルセックス、裸でのベッドインなども含まれます。
セックスレスの原因はカップルによってさまざまですが、EDが引き金になっている場合が少なくありません。思うように勃起せず、うまく性交渉できないために、パートナーとの関係が気まずくなり、結果的にセックスレスになってしまうこともあるようです。
主に精神的な理由から起きる心因性EDの場合には、ジェネリック商品などのED治療薬が有効となることが多いです。ただ、他の薬と違い、ED治療薬は用法・用量を守ることだけでなく「ちょっとした工夫」を必要とします。
パートナーと親密な時間を過ごす
ED治療薬が効果を発揮するためには、パートナーとの親密な時間が大切
しかし、ED治療薬の場合には、ただ飲んで待ってさえいれば勝手に勃起が起こるわけではありません。ED治療薬を服用しても、陰茎の勃起は性的な興奮があったときに限られるからです。
つまり、ED治療薬の効果は「性欲が高まってこそ」現れるのです。このため、効き目が現れるまでの間は、パートナーとの親密な時間を過ごし、一緒に性的興奮を高めていくことが何より大切です。
薬が効き始めるまでの時間には個人差がありますが、おおむね、服用後30~60分ほどで効果が出始めます。兆候が現れるまでは互いに触れ合ったり、愛を語り合ったりして気持ちを盛り上げていくとよいでしょう。
ED治療薬が効くために必要な性的興奮
ED治療薬を飲むときに必要な「ちょっとした工夫」とは、この「性的興奮」のことです。ED治療薬はあくまでも「勃起を助ける」薬ですから、それを促す性的興奮が必要なのです。基本的には、女性に対して性的なつながりを求め「セックスしたい」という気持ちを高めることです。しかし、性的興奮はAVなどの視覚情報や空想だけでは不十分な場合があります。
手っ取り早いのは、陰茎をこするなど、直接的な刺激に頼ることです。ED治療薬を初めて使う場合には、飲んだという事実そのもので興奮し、勃起する人もいるようです。
英国のコンドームメーカー・デュレックス社の「セクシュアルウエルビーイング」(2007年)によると「経験したことのある行為の種類の平均数」(計10種類)のうち、日本人の平均は2.6種類でした。首位はギリシャの6種類です。
10種の内訳は、膣性交、アナルセックスをする・される、オーラルセックスをする・される、マッサージ、セックスの妄想、AVや雑誌を見る、セクシーな下着を着る、ロールプレイ、SM、テレフォンセックス――です。勃起後の展開の参考になるかもしれません。
定期的なセックスを心がける
寝室やベッドを共にすることは、セックスレス予防の第一歩
ED治療薬の効果を高めるには、ある程度、定期的なセックスをすることが大切だという考え方があります。間隔があいてしまうと、誘うタイミングを逸したり、行為自体が億劫になったりする恐れがあるからです。
また、出産などがきっかけで寝室を別にしたことからセックスの回数が減るケースもあります。ということは、カップルが同じ部屋で寝ることには、セックスレスの予防効果があるといえそうです。
また、セックスは局部運動ではなく、全身運動です。羽目を外して、足腰が立たなくなっては元も子もありません。日ごろから適度な運動を心がけて体調を整える一方、ED治療薬の効果を妨げるような食生活(過度の飲酒や高脂肪の食事など)は避けるように努めましょう。
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