遠距離介護の不安は
「日常の様子が見えない」ことにある
1日5分の電話でも、親にとっては大きな喜びです
ガイドである私自身も約4年間にわたって遠距離介護をしていたことがあるのですが、要介護者である親の毎日の様子を見ることができないというのは実に不安なものです。
「ご飯はちゃんと食べただろうか?」「薬を飲み忘れていないかな?」「ちゃんと戸締まりしている?」「火の始末は大丈夫?」など、心配のタネを数えだしたらキリがないほど。独り暮らしを始めた子どもを持つ親も同じような気持ちになるのでしょうが、年を重ねるとともに成長していく子どもと違い、要介護者の心身は年を重ねるごとに弱っていくので、いつまで経っても不安な気持ちを無くすことはできません。
離れて暮らす親には、
こまめに電話をかけよう
不安な気持ちを少しでも減らすには、連絡を取り合うのが一番。ただ、親の側から電話をかけてもらおうと思っても、億劫がったり、遠慮したりでかけてこないことも珍しくありません。「何かあったら、いつでも電話をかけておいで」と伝えるのではなく、特に変わったことが無くても介護する側から積極的に電話をかけるクセをつけましょう。
親の立場からすると、1日にたった5分間、電話で話すだけでも「自分の子どもは、自分のことをいつも気にかけてくれている」と実感することができ、嬉しいものです。物理的な距離はともかく、心の距離を埋めることを大切にしてください。
親の生活のリズムや特徴、
価値観や人付き合いなどを把握しよう
毎日のように親と連絡を取るようになると、自然に親の普段の暮らしや考え方がわかるようになってきます。
特に次のようなポイントは、親の健康状態を把握したり、今後の介護の方針を考えるのにも有効なので、ちゃんと聞き出して、普段の会話のネタとしても活用していきましょう。
- 普段、どんなものを食べている?
- 起床時間や就寝時間は?
- 入浴時間は?
- ゴミ出しは何曜日? ゴミの分別方法は?
- 介護保険の認定状況は?
- ヘルパーなど他人が家に入ることへの抵抗感は?
- 趣味は?
- 好きなテレビは?
- どんな友人がいて、どんな付き合いをしている?
- 友人の連絡先は?
- 近所の人との関係は?
- かかりつけの病院はどこ?
見守り&コミュニケーションツールとして、
とても便利な「FaceTime」
遠くに暮らす親と連絡を取り合うツールとして、非常に便利なのがiPadやiPhoneなどで利用できる「FaceTime」です。自分の手元と実家それぞれに本体と無線LAN環境があれば、初期費用や月額費用なしでテレビ電話のように使えます。
画面の大きさや操作の簡単さを考えると、特にiPadがオススメです。通話相手の表情が画面いっぱいに表示されるので、通常の電話と違って、親の心身の状態を見るのに有効。また頻繁に帰省できなくても、孫の顔を手軽に見せてあげることができるので、親も連絡を心待ちにしてくれるようになります。さらに、本体に内蔵されている2つのカメラの切り替え方法を覚えてもらうことができれば、家の中の様子を映像で確認することも可能。「ちょっと目を離しているうちに実家が荒れ放題」などという事態も避けられます。
通信機器に慣れていない人にとっては、最初の設定は少しだけ複雑かもしれませんが、それを補って余りあるメリットがあると思いますので、興味のある方はチャレンジしてみてください。
【参考サイト】
>iPad Tips|iPad 2 の新機能 「FaceTime」の使い方 iPhone女史
>FaceTime:フェイスタイム(テレビ電話)の使い方 | iPod/iPad/iPhoneのすべて