外れやすい入れ歯を安定させる2つのポイント
入れ歯はバランスが大切。一方を優先すると全てのバランスが崩れことも。
特に重要なのがこの入れ歯の噛み合わせです。入れ歯は噛み合わせの力が偏ると安定性が無くなり、歯ぐきに傷を作るようになったり、外れやすくなったりします。
最初はきちんとした状態でも、数年経過するとあごの動きが変化したり、入れ歯の歯の部分が摩耗したりして、入れ歯の噛み合わせが変化します。噛むたびに外れてしまうような入れ歯も、一度の噛み合わせ調整だけで、安定するように変化することがあるほどです。
■入れ歯の密着度合い
歯ぐきによく密着し、入れ歯と歯ぐきの間に十分な唾液が存在すると、入れ歯はより安定しやすくなります。上の総入れ歯などでは、歯の部分に連結する金具部分がなくても外れたり落ちたりしない状態「吸着状態」が起こるのです。
唾液が少なかったり、歯ぐきが痩せて入れ歯との隙間が多くなると、入れ歯が合わなくなり、外れやすくなります。こんなときに有効なのが入れ歯安定剤です。唾液よりも粘着性を持たせた安定剤が歯ぐきと入れ歯の間に入り込むことで、より外れにくくなるのです。
入れ歯安定剤を上手に利用するポイント
■少ない量でバランスよく塗る入れ歯安定剤は、歯ぐきと入れ歯のスペースを埋めるものです。入れ歯にこれでもか!と盛るのではなく、薄く塗り付ける位でちょうどよい感じとなります。入れ歯安定剤の量を増やしても押し出されるだけ。ゆるくなったといっても、その隙間は僅か0.5~1.5mm程度のことが多いのです。
■新しい義歯には使わない
作り直したばかりの入れ歯は、歯ぐきに合わせてぴったりと合う状態になっています。ここにはまだ入れ歯安定剤を入れるスペースはないため、無理に使用すると歯ぐきを圧迫して痛みが出たり、噛み合わせが合わなくなってしまうことがあります。新しい入れ歯は、まずは削って合わせるのが基本。しばらくは病院で調整を行なってもらいましょう。
■細菌の繁殖に注意
入れ歯安定剤の粘着性の高いものは、繰り返して使用せず毎日しっかりと洗うようにしてください。洗わず再使用などすると、細菌が繁殖して不衛生な状態になってしまうことがあります。数日使用可能タイプは、就寝時の保管時には、入れ歯洗浄剤などを利用して細菌の増殖を抑えることをオススメします。
■噛み合わせに注意
初めに説明したように入れ歯の安定のためには、噛み合わせと入れ歯の密着度の2つがポイントになります。入れ歯安定剤は後者のみを改善できますが、噛み合わせは病院で調整する必要があります。
噛み合わせの調整が必要かどうか?自分で確認する方法
もし入れ歯安定剤を大量に使用しないと安定しない場合は、それだけ入れ歯が合っていないということ。作り替えか、調整を行なった方がよい場合があります。これを確認する方法は、まず入れ歯安定剤を薄く塗り付けた入れ歯を口の中に入れます。その際、噛んで押しつけるのではなく、指だけで左右の奥歯を中心にしっかりと押しつけ、粘膜に密着させて2~3分ほど待ちます。(総入れ歯の場合)
その後、鏡を見ながらゆっくりと、いつものように噛み合わせてみます。このとき入れ歯安定剤を付けた入れ歯が、前歯が最初に接触して、その後奥歯が浮く(外れる)方向に動いたりした場合は、一度病院で調整した方が良いと思います。
この他にも、はがしやすい入れ歯安定剤などを利用している場合は、使用後にその厚みをみて、前歯の裏側が薄く奥歯が厚くなっているようであれば、やはり前歯の噛み合わせが強くなっているので、調整が必要となります。
もし噛み合わせと密着度合いの両方が大きく変わってしまっている場合は、新規に作り直すという判断になることが多いようです。