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速い、強いラテンアメリカのF1ドライバーたち(2ページ目)

F1で第2勢力ともいえるラテンアメリカ出身のドライバー達。F1の歴史を作ってきたレジェンドから最多出場回数を誇る鉄人まで、エネルギッシュにレースを戦う中南米のF1ドライバーの魅力についてご紹介。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

F1初期の帝王は南米の出身

F1の歴史が始まったのは1950年。その50年代に絶対王者の名を欲しいままにしていたドライバーは南米アルゼンチン出身のドライバーだった。ブエノスアイレス出身のファン・マニュエル・ファンジオ。1951年に初のワールドチャンピオンに輝き、54年~57年まで4年連続、合計5度のワールドチャンピオンを獲得したドライバーで、この記録はミハエル・シューマッハが更新するまでの46年間の長きに渡って、誰にも破られることはなかった。


ファンジオ

ファンジオ
【写真提供:Daimler】

当時のF1というとヨーロッパ諸国での開催がほとんどだったが、ファンジオをはじめとする数人のアルゼンチン人ドライバーが当時の政権のバックアップを受けてF1に参戦していた。ファンジオの驚異的な活躍もあり、1953年には早くもアルゼンチンGPが開催されている。こういった例を見ても分かる通り、モータースポーツに対して情熱的で、国をあげてヒーローを讃えようとするのもラテンアメリカ諸国の特徴といえる。他のスポーツでもサッカーなどはまさにその典型だ。




ブラジル黄金期の礎を作ったドライバー

アルゼンチンのファンジオが作った功績から、南米ではF1が初期の段階から人気を得ていた。アルゼンチンに続いたのがブラジルだ。1950年代半ばからブラジル人ドライバーも散発的に出場していたが、ファンジオのようにチャンピオンが狙えるドライバーが登場するのは1970年になってからのこと。

70年代に活躍したのはエマーソン・フィッティパルディ。裕福な家庭に生まれ、父親がモータースポーツジャーナリストであったことから、ヨーロッパでF1までの道筋を得る環境にあった。1972年に当時としては最年少の25歳でワールドチャンピオンに輝き、ロータス、マクラーレンのエースとして活躍し、2度のワールドチャンピオンに輝いた。
ロータス

ロータス72を駆るフィッティパルディ 【LOTUS Racing】

フィッティパルディの凄い所は1976年から同じくF1ドライバーになった兄と自らのチームを率いてF1に出場したことだ。しかもブラジルの国営企業をスポンサーにつけての参戦とあって、ブラジル人初のワールドチャンピオンはこれまた国をあげてのバックアップを受けたのだった。自らのチーム「フィッティパルディ」は低迷し、F1を引退したが後にインディカーに転向。2度のインディ500優勝をはじめとする輝かしい成績を残し、50歳までトップドライバーとして活躍した偉大な選手だった。ブラジルにとって彼が作った礎は大きい。


昼も夜も大活躍? 熱いブラジル人王者

エマーソン・フィッティパルディは現役バリバリの最中、ブラジル人の後輩をバックアップしている。1980年代に3度のワールドチャンピオンに輝いたネルソン・ピケである。
ピケ

若き日のネルソン・ピケ 【写真提供:PIRELLI】

ピケがF1で活躍した時代はターボチャージャー付きのハイパワーエンジンを搭載しており、F1のターボエンジンは発展途上で、今とは異なりドッカンとエンジンがよく壊れるシーンが見られた時代である。その時代にチャンピオンをターボエンジンで2度取った理由には、ピケの安定感溢れるドライビングスタイルがよくあげられる。情熱的な気質の南米人からは想像もつかない正確でしなやかな走りはマシンやエンジンへの負担を軽減し、壊れやすい当時のマシンをゴールへと導いていたと言われる。

ピケはしなやかなドライブと裏腹に、プライベートではお盛んなドライバーとしても有名で、グランプリが開催される各国にガールフレンドが居ると噂されたこともあるほど。とにかくモテモテだったのだ。夜は情熱的だったのか、いや、女性に対しては「情熱的」かつ「しなやか」だったのかもしれない。

次のページではラテンアメリカのスーパースターといえる名ドライバーをとりあげます。
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