検便・便潜血検査でわかること・そもそも「検便」とは
近年、検便はますます重要度を増しています
しかし、ギョウ虫検査はシールでの虫卵の確認に移行されており、そもそも近年ではギョウ虫の罹患者数は激減しています。
では、今の「検便」では何を検査しているのでしょうか? もちろん寄生虫の有無を確認する手段でもありますが、それ以外にも、ノロウイルスなどの細菌の有無や、大腸ポリープや大腸がんなど、消化器疾患の有無を判断する上で大変有用な検査としての役割を持っています。その中でも、今回は消化器疾患の有無を診断する「便潜血検査」の方法と、検査時の注意点について解説します。
便潜血とは……見た目で分からない血便も。病気の早期発見に
便に血が混じることは、消化管のどこかから出血していることを意味します
加えて、がんの組織は非常にもろくまた血管が豊富なためちょっとしたことで出血が見られます。日本人に多い胃がんや大腸がんも同様に、食物や便などの擦過によって容易に出血が見られます。これらの血液を便で捕まえることができれば、早期発見に繋げることも可能です。
便潜血検査でわかること……便中の血液は2つの方法でチェック
便にヘモグロビンが混じっているかどうかは、大きく分けて2つの方法があります
現在の検便のための検査キットは、棒の先に少し便をとって、薬液に浸して提出するという方法になっています。マッチ箱のようなものに便を入れていた昔の方法に比べて、かなり手軽にかつ清潔に検査が行えるようになっていると言えます。
こうして提出された少量の便からヘモグロビンをチェックする方法は、大きく分けて2つあります。
1. 化学法
ヘモグロビンから生まれたヘマンという物質が、試薬の変化を起こすという性質を利用した検査法です。試薬によってオルトトリジン法、グアヤック法がありますがこれらは組み合わせて行われます。大腸だけでなく胃や十二指腸などからの出血もチェックできますが、動物の血液にも反応してしまう可能性があるので、検査の前に肉食を控えて頂くなどの工夫が必要になります。
2. 免疫法
化学法の弱点である動物の血液にも反応するという問題を克服したのが、ヒトヘモグロビンそのものを免疫学的に検出するという方法です。これは食事制限が不要で、かつ非常に鋭敏であるという長所がありますが、胃や十二指腸からの出血ではヘモグロビンが胃酸で変性することがあるため検出されにくいという問題があります。このような状況より、大腸がんのスクリーニング検査として広く行われています。
便潜血検査を受ける上での注意点……生理中・痔の場合も検便は提出してよいのか
痔ではないか?という自己判断をせずに、 節目では医師の 診察をお受ください
その一方で怖いのが、痔を持っている方の便潜血陽性例への反応です。せっかく早期の検診で発見した消化管出血の予兆を、「あぁ、私の場合は痔なんですよ」と早合点して再検査を受けないことは少なくありません。
もちろん、実際に痔が原因のことも多いでしょうが、中には痔以外の病気が隠れている場合もあります。もし陽性だった場合には、例年通りと安心せずに、年に1度は内科の先生の診察とその上での適切な検査、具体的にはバリウム検査や内視鏡検査などをお受けになることをおすすめします。
以上、便潜血検査の基本的な概要について解説してきましたが、便潜血検査が陽性になったときに考えられる原因や、その時受診すべき診療科などの詳しい情報に関しては、「要精密検査?健康診断で「便潜血陽性」と言われたら」をあわせてご覧下さい。