住宅は様々な技術や素材の集まり。自社開発して採用しているものも一部にありますが、建材や資材、住宅関連の設備機器が製造したものが数多く使われています。そのため住宅産業は「アッセンブリー産業」と呼ばれます。
一般的にこれらを採用する際、その裏付けになるのはメーカーが提供する情報頼みになります。その情報に一定レベルの信頼性があるのは間違いありませんが、万全を期すためには自分たちで確認することに越したことはありません。
大手ハウスメーカーの研究所の特徴の一つは、そうしたメーカーの情報を裏付ける作業を行っている点。そこにハウスメーカーの信頼性が表れてきます。大手のハウスメーカーとそれ以外の差別点となるという意味でも注目できます。
基本技術や新素材など幅広い分野を研究
一例を挙げると、耐震実験があります。研究所の中には「起振装置」と呼ばれる地震の揺れを再現する装置を有していて、そこで自社の建物の耐震性能を確認。その結果に基づいて安心・安全をアピールしているわけです。旭化成ホームズの住宅総合技術研究所で行われた耐震実験の様子。阪神淡路大震災クラスの大きな揺れを再現できる。このような大掛かりな設備を駆使し て、信頼性を確かめている
研究所の役割の一つに新技術や新素材の開発があります。わかりやすい事例としては、最近普及が進み始めた「スマートハウス」分野があります。これこそ新しい技術ですから詳細な確認作業と検証が必要になります。
具体的には太陽光発電システムの性能やHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)、家庭用蓄電池、そしてのそれらの連携など、それぞれのハウスメーカーが自社及び、それを提供する設備機器メーカーなどと検証を積み重ね、今世の中に提供されようとしているのです。
この他にも、例えば「ユニバーサルデザイン」の研究などがあります。ユニバーサルデザインとは、健常者はもちろん、高齢者や子どもなどまで誰にでも使いやすいデザインのことをいいます。住宅は長く使われるものですから、こうしたデザインを施され建材や資材を使うことが重要となるのです。
次のページでは、具体的にハウスメーカーの研究所とその研究内容についてご紹介していきたいと思います。