健康診断・検診・人間ドック/心電図

心電図の基礎知識

健康診断で心電図を受けた経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょうし、テレビドラマなどでもモニター画面に映し出される心電図を医師たちがじっと見つめているというシーンは、しばしば出てきます。では、心電図は何を見て、何をチェックしているのでしょうか。心電図の基礎知識をわかりやすく解説します。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

 心臓は筋肉の塊

心筋

心臓は筋肉の塊で全身の血液を環流させる働きを 持ちます。

心臓は筋肉の塊です。筋肉が絶え間なく収縮することで、血液を全身に送り出している臓器です。心臓がうまく動かないと、血液が全身に行き渡りません。血液は全身の臓器が機能するために必要な酸素と栄養分を全身に送り届ける機能を持っていますし、同時に全身の臓器が動いた結果出てくる二酸化炭素と老廃物を回収してくる役割も持っています。心臓が上手く動かなくなるとこの血液の流れが滞るために身体の不調を来すようになりますが、これを心不全と言います。

心電図が見ているもの

筋肉は収縮するときに微弱な電気信号を出します。これを身体に電極をつけて感知するようにしたのが心電図です。心電図は大きく分けて2つの事項を見ることができます。
一つはリズム。心臓は通常は規則正しく等間隔に拍動し、その回数は安静時に1分間に60-80回ぐらいが正常です。また、心臓には上下左右の4つの部屋があるのですが、この4つの部屋が協調して動いているかどうかも重要です。心臓のリズムがうまく取れていない状態を不整脈と言います。
もう一つは、心臓の筋肉にきちんと血液が送られているかどうかということです。筋肉の塊である心臓自身も、当然、血液が必要ですが、この血液を送っている血管を「冠状動脈」と言います。冠状動脈は細いこともあり、生活習慣病による影響で動脈硬化が進むと血流が低下します。すると心臓の筋肉に十分な酸素が送られなくなり、狭心症や心筋梗塞を引き起こします。

こんな方は一度心電図を!

心電図undefinedクリップundefined狭心症

心電図は四肢にクリップを挟み、前胸部に電極をつけるだけの簡単な検査です。痛みや出血はありません。

心臓の不調は人によって様々な症状としてあらわれますが、代表的な症状を以下に示します。

  • 動悸、息切れ:普通、心臓の鼓動は意識しませんが、胸の辺りで胸がどきどきする不快な感じがあるときや、胸が詰まったような感じがあるとき、そして脈が不規則に飛ぶような感じがあるときなどは、不整脈や頻脈の可能性があります。これらの時には息切れのような症状が併発することもあります。
  • 胸の締め付け感:胸が締め付けられるような感じ、という症状も要注意です。特に、普段は何ともないけれど、歩いたり、入浴したり、食事をしたりといった時に症状が出るという時などは、冠状動脈の狭窄による症状が出ている場合があります。

これらの症状が出た場合には、まず心電図の検査をしてチェックすることで、心配すべきものかどうか、心臓超音波検査などの詳しい検査が必要かどうかということを判定できることも多いです。

心電図は、身体に大きな負担をかけることなく、これらの状況をきちんと見ることができる非常に優れた検査方法です。また、機械も比較的安価で一般のクリニックでも検査できることも多いので、少し気になる場合や心配がある場合などは、一度、お近くの医療機関にご相談になることをお奨めします。

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