クローン病
消化管のどこでも病気が起こります
クローン病は、主として若い人にみられ、腸に、炎症が長く続き、潰瘍などが出来てしまう病気です。潰瘍性大腸炎と違って、大腸だけでなく、口から肛門のどの部位でも起こる可能性があり、主に、大腸と小腸に多く見られます。
皮膚にも病気が起こってきますが、原因は不明です。主に、どの腸にでも炎症が起こり、潰瘍や繊維化を起こす慢性の病気です。
クローン病の症状
主に腸の病気ですので、腹痛と下痢で気づかれることが多いです。潰瘍や炎症のある場所や範囲によって症状が異なります。小腸型、小腸・大腸型、大腸型に分けられ、下血や下痢は大腸型に見られやすく、腹痛は小腸型に見られ、小腸から大腸まで炎症を及ぶと、発熱などの全身症状まで見られます。主な症状は
- 発熱
- 下痢、腹痛
- 腹部腫瘤(腸に膿が溜まる膿瘍、腸管が狭くなる狭窄などで腫瘤のようにはれる)
- 体重減少・栄養障害
- 疲れやすいなどの全身倦怠感
- 貧血
- 口内炎、肛門の炎症
- 関節が痛い関節炎
- 虹彩炎(目の黒目の部分の炎症)
- 結節性紅斑(赤くて少し硬い湿疹)
クローン病の疫学
10歳代後半から20歳代に多く、約2:1で男性の方が2倍に多く、頻度は、人口10万人に対して1人ぐらいで、日本では3万891人がクローン病と報告されています(2009年度)。家族内発症は1.5%と多くはありませんが、遺伝要因も報告されています。ただ、欧米でクローン病が多いことから、環境要因の可能性が言われています。危険因子として、動物性タンパク質や脂肪、喫煙などです。次のページでクローン病の検査と治療を説明します