輻射熱によって部屋全体をあたためる床暖房
幅広いプランに対応できる、仕上げ材分離型。パネルは90種類あるので、様々な形状のプランが可能。 [仕上げ材分離型温水床暖房 フリーほっと温すいW ] パナソニック エコソリューションズ
床暖房には、ヒーターを内蔵したパネルなどに電気を通して暖房する電気式と熱源機で沸かした温水を、床下の温水パネルに循環させて暖房する温水式に分けられます。
温水式床暖房の熱源は、ガス、石油、電気
温水式床暖房は、熱源機(ボイラー)で沸かしたお湯(約40~60℃の低温水)を床下の温水パネル(マット)に循環させて暖房する仕組み。熱源機一台で、広い面積、複数の部屋に設置することが可能なのが特徴です。お湯を沸かす熱源は、ガス(都市ガス・LPガス)、石油、電気などがあり、住まい全体のプランや条件に合わせて選ぶことができるでしょう。■ガスの熱源機
床暖房専用のボイラー、床暖房機能付きのエコジョーズ、エコウィル(ガスエンジン)など。
■電気の熱源機
大気の熱を効率よく利用する専用のヒートポンプ、床暖房機能付きのエコュート、太陽熱利用の温水器など。
■石油式の熱源機
暖房専用のボイラー、エコフィールなど。
どの熱源を選ぶのかは、住まい全体のプランニングや給湯システムと大きく関わります。床暖房単体ではなく、トータルに検討することが大切です。
施工方法では、仕上げ材一体型と分離型に分類される
温水式床暖房のメーカー商品には、さまざまなタイプが揃っていますが、施工方法・商品的には、仕上げ材一体型と仕上げ材分離型に分かれます。温水パイプとフローリングが一体なので、昇温が早い。施工も簡単。[はるびよりシリーズ 温水式仕上げ材一体型] DAIKEN
フローリングなどの床材に床暖房のシステム(温水パイプ)が組み込まれ、一体化されたタイプのこと。仕上げ材にはある程度の制約がありますが、比較的立ち上がりが早く、施工も楽なので、リフォームでも取り入れやすいものです。
■仕上げ材分離型
温水パネル (マット)に好みの床材を組み合わせるタイプ。パネルのサイズも豊富に揃っているので、さまざまな形状(プラン)に対応できるのが特徴です。キッチンシンク前や廊下など細長いスペースやL字型に敷きこむことも可能。また、仕上げ材も、フローリングだけでなく、コルクや畳、タイル、カーペットなどの素材を用いることもできるので、インテリアに合わせて取り入れることができるでしょう。
仕上げ材分離型には、いくつかのタイプが
床暖房パネル間の配管は、下地合板の上で接続。2階や床下スペースの少ない1階にも設置が可能。 [仕上げ材分離型温水床暖房 フリーほっと温すいW 構造図] パナソニック エコソリューションズ
仕上げ材分離型には、建物の工法や仕上げ材などに合わせて、いくつかの施工方法があります。名称はメーカーや商品によって異なりますが、モルタルなどに直接埋め込む埋込型(直埋タイプ)、床下の根太と根太の間にパネルを設置するタイプや根太の上に設置する方式など。小根太入りの温水マットを用いたり、下地合板に直接温水パネル(シート)を敷くタイプなどもみられます。
実際に家づくりを進める中では、設計担当者が提案したものから、選ぶケースが多くみられますが、選択理由やメリットデメリットなどは確認しておくようにしましょう。
温水式が適しているのは、複数の部屋に設置、長時間利用
一般的に、温水式床暖房は、機器代が電気式床暖房よりも割高で、熱源機の定期的な点検や部品の交換などメンテナンスの費用も必要ですが、燃料費(ガス)が電気に比べ安いことなどから、広い面積や数多くの部屋に設置したり、比較的長時間利用するご家庭に向いている方式といわれています。たとえば、幼いお子さんと家で過ごすことが多い場合、高齢の方がいらっしゃる場合など。また、家族が集まるLDKや個室など、複数の部屋に設ける場合に適しているでしょう。ただし、ライフスタイルや用いる熱源によっても異なるので、条件をしっかりシミュレーションすることが大切です。
温度制御やタイマー機能などを簡単操作。[フリーほっと温すい コントローラー] パナソニック エコソリューションズ
リフォーム向けの商品も
仕上げ材一体型はリフォームでも取り入れやすいものですが、最近では、既存のフローリングの上に温水パネルを貼るだけのタイプもみられます。パネルや仕上げ材の厚みを抑えることで、段差などが生じにくいものも。施工も簡単で、短い時間で完成するため、費用も抑えることができるのもメリットでしょう。キッチンスペースやリビングなど、暮らしに合わせて無駄なく施工できるのも魅力です。ドアや建具との同系色コーディネートが可能。傷や汚れに強く、キャスターや車イスも使用できる。[温水式(仕上げ材一体型暖房床) はるびよりD] DAIKEN
メンテナンスやランニングコストの確認を
温水式床暖房は、イニシャルコストとして熱源機器類やパネル、温水配管設備、自動制御装置設備工事などに費用がかかりますが、熱源機によっても費用も異なるので、しっかりと比較すること。もちろん、これらのイニシャルコストだけでなく、ランニングコスト(燃料費)と合わせて、トータルに検討するようにしましょう。その他、熱源機器の定期的な点検や部品の交換などメンテナンス体制も事前に確認を。基本的には、水道水が循環しているので、パイプが詰まったり、水が漏れる、といった心配はありませんが、不凍液を使用した場合は、長期使用による劣化など、定期的な点検が必要でしょう。
温水式床暖房は、間取りはもちろん、給湯システムプランなどと大きくかかわるもの。出来る限り早めに、設計担当者に相談することが重要なポイント。ライフスタイルや家族構成、将来の変化なども考慮してプランニングするようにしましょう。
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