F1ドライバー達が日本に送った愛
観客動員が10万人を超え、3日間延べで20万人近くも集客できた要因には、F1ドライバー達が日本に対して愛のこもったメッセージを送り続けて来たからではないだろうか?震災直後に開催されたオーストラリアGPでは、全ドライバーがリレー形式で日本語のメッセージを送るVTRを作成。チャリティも積極的に展開するなど、その影響力の大きさを活かして世界中にメッセージを発信し続けた。被災した人たち、していない人たちに関わらず日本に住むF1ファンにも彼らのメッセージはしっかりと届けられ、彼らが送ってくれた愛に応えようと多くのファンが鈴鹿サーキットに訪れたのだった。
日本グランプリのスタートシーン 【MOBILITYLAND】
サイン会からドライバーもご機嫌!
多くのF1ドライバーにとっては年に1度、闘いの舞台として訪れる日本。彼らにすれば、大震災の衝撃的な映像だけが頭にあり、日本でのレース開催や盛り上がりを想像できなかったことだろう。しかし、木曜日に開催された恒例のピットウォークにはグランドスタンドを満杯にするほどの大観衆が詰めかけ、多くのドライバーを心から驚かせ、「木曜日なのに、信じられないよ」と感嘆のコメントを口々にしていた。木曜日の記者会見では日本に対するメッセージがドライバー達から送られた。 【MOBILITYLAND】
サイン会は幸運にも当選したファンだけが彼らのサインを手にできる貴重なチャンスだ。通常、ドライバー達も厳しく時間を制限され、F1ドライバーのファンサービスの義務としてイベントをこなすことが多い。しかし、今年ばかりは違った。全ドライバーが笑顔で登場し、かなり長い時間を割いてサインに応えた。またチームが用意したポストカードをサイン会に当選できなかったファンに向けて投げ入れたり、ディフェンディングチャンピオンとして鈴鹿に凱旋したセバスチャン・ベッテル(レッドブル)に至っては、自らの携帯電話でスタンドのファンの写真を撮影したり、当選したファン以外にもサインをする時間を設けるなど、信じられないファンサービスぶりだった。
積極的にサインに応えるベッテル 【MOBILITYLAND】
ベッテルはチャンピオン争いがほぼ決まりという状況で彼自身もリラックスして鈴鹿入りしたというのもあるが、まだ決定前はファンと握手したり、パニックを巻き起こしかねない即席のサインサービスは万が一を考えれば危険。しかし、彼は日本のファンのマナーを信頼し、ファンサービスを続行したのだ。ベッテルのマネージャーらしき人物が「こんなの日本でしかあり得ないよ」と痛快な表情で語ったのがとても印象的だった。
サイン会に登場したザウバーの小林可夢偉とセルジオ・ペレス 【MOBILITYLAND】
また、今回の日本グランプリではF1界を取り仕切るFOWC代表のバーニー・エクレストン氏が被災地のF1ファンを鈴鹿に招待する「バーニーシート」を用意するなど、震災からの復興を後押しする様々なサポートが行われ、被災地から訪れたファン達も楽しいひと時を過ごせたのではないだろうか?
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