オールインワンでありペンケースであること
ケースの中にレシーバー、ペン、リフィル、ケーブルの全てが揃っていて、しかもサイズもコンパクト
「インクリング」が良くできているなあと感心するのは、何よりもまず、ケースにレシーバーと専用ペンを入れて、ケースごと充電するというアイディアです。二つの機器のどちらも必要なら、同時に充電できた方がいいに決まっています。それがケースに収納した状態なら、それは便利な上にカッコいいと思います。さらに、ケースの中にはペンの替え芯と、パソコンとの接続用ケーブルまで付属しています。そして、レシーバーの中にはパソコンにインストールして使うドライバソフトやビューワーソフトまで入っています(しかもマック用とウィンドウズ用の両方!)。
ケースに入れた状態でレシーバーとペンの両方を一度に充電できる
つまり、このケースだけで全てが完結しているんですね。かつて、子供の頃、学校で使う文房具は全部筆箱の中に入っていましたが、それと同じです。このケース1個持っていけば、筆記環境はOK。しかも、ペンはケースを開けなくても出し入れできる仕掛けになっています。だから、デジタルペンとしてだけではなく、普段使いの筆記具としても便利なケースになっているのです。嬉しい事に、ペンのリフィルは4Cと呼ばれる、マルチペンなどに使われているタイプで、各メーカーから様々な種類が発売されています。それこそ、パイロットのHi-TECH-Cなどもありますから、好きなリフィルを選んで使える訳です。ケースのリフィル入れは最大4本入りますから、何種類かそこに常備するという手もあります。
アナログ部分、デジタル部分共に作り込まれた細部
ペンは蝶番部分に収納されていて、ケースを開けずに出し入れできる。この構造のため、ケース自体もコンパクトに仕上がっている訳だ
感心するのは、例えばパソコンと接続するためのUSBケーブルです。デジタル機器の多くは付属ケーブルが長過ぎることが多く、しかも製品と一緒に持ち歩ける工夫がされたものはほとんどありません。「インクリング」の場合、単にケースに入るだけでなく、ケーブルを巻くリールが付いていたり、USB端子の両端の大きさの違いに合わせたケーブル留めが用意されていたりと、細部の作り込みが見事です。ケーブルの長さも絶妙です。
紙を挟むクリップ部分が改ページのスイッチになっている
レシーバー部も、例えば、紙を挟むクリップ部分がスイッチになっていて、クリップを開いて紙を交換すると、自動的にデジタル的にも次のページに進む設計になっているのです。また、レイヤー機能のおかげで、下書き、清書、清書の直し、といった作業を同じ紙で、上から何度もなぞって作成する事が可能。それぞれを別レイヤーにして描けば、後で、一番良くできているレイヤーだけを保存することもできる訳です。
レシーバーで紙を挟んで、あとは専用ペンで普通に描くだけ。線の太さも認識してくれる
ペンも、きちんとラバーグリップが付いていて、滑りにくく、持ちやすく、適度な太さもあって、ペン全体としては重過ぎず、なかなか良い感じです。筆記時にペン先が多少沈むのはデジタルペンの宿命なのでしょうがないですが、リフィルを好みのものに交換する事で、それなりの価格のボールペンと戦える程度の書き味は獲得できます。キャップ外しやノックの必要もなく、ケースから取り出せばすぐ筆記可能なのも嬉しい仕様です。
ガイド納富の「こだわりチェック」
インクリングに付属のソフトウェアの画面。レイヤーの管理や描いた軌跡の再生、好きなフォーマットでの書き出しなどが行える
ソフトウェアのデザインもカッコよく、何と言うか、今までのデジタルペンに欠けていたのは、こういう未来の文房具的なカッコ良さ(または、ガジェット好き心をくすぐるSFっぽさ)だったのではないでしょうか。これなら持ち歩きたい、と思わせるだけでもデジタルペンにとって大きな一歩だと思います。人間、便利だけでは中々動かないものだなあと、「インクリング」を見て思いました。便利で安い、とか、便利でコンパクト、とか、便利で話題性がある、とか、何でもいいですが、便利+何か、というのは大事なんですね。
ペン先は筆圧感知のためか、深めの角度になっている。付属のリフィルは普通の油性ボールペンの書き心地
また、デジタル機器だからこそ、アナログ部分に手を抜かないで作るとカッコいいという見本みたいな製品だと思うのです。もう、デザイン的にはほとんど、トイザラスとかで売ってる子供用スパイセットと同じなのですが(ペンの収納ギミックなんか、全く同じで笑ってしまうくらいです)、デジタルペンという製品が持つ未来っぽさは、ちょうど、子供のスパイ願望くらいの未来っぽさで、こういうガジェット的なジャンクなデザインがよく似合うのです。ガイド納富なんか、ケースからレシーバー部をスライドさせてカチャッと外すだけでワクワクしてしまうのです。
【関連リンク】
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