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ドラマのオールタイム・ベストを選ぶのは難しい

週刊現代の企画「テレビドラマベスト100」の選定に参加しました。1,2位は多くの人が納得する定番作ですが、3位は隠れた名作が浮上してきました。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

『週刊現代』2011年7月16・23日合併号に「決定!懐かしのテレビドラマベスト100」という企画があり、その選定に参加しました。

ベスト30の結果は下表のようになりました。
ベスト30

                                        テレビドラマベスト30
 

納得の1、2位

1位の『岸辺のアルバム』と2位の『北の国から』は山田太一・倉本聰の脚本家の両巨匠の代表作、定評があり多くの人が納得できる結果です。

しかも両作とも現在に通じる内容です。『岸辺のアルバム』は崩壊した家族のマイホームが水害にあい、流される寸前に家族の思い出であるアルバムを持ち出すという結末。東日本大震災で同様のエピソードがたくさん伝えられました。
一方の『北の国から』もテレビドラマとしては終わっても、富良野にある北の国から資料館ではストーリーが続いているそうです。現在、純と蛍はともに被災地ボランティア、蛍の夫の正吉は津波で流され、蛍の子どもは五郎があずかっている、と黒板一家も現実の時間を生きています。

隠れた名作の3位

ベスト30までに選ばれたドラマはだいたい同時代にテレビを見ていた人なら名前は知っている作品です。ところが3位、これも山田太一脚本の『早春スケッチブック』は例外で、本放送時の視聴率は7.9%と低く、再放送で盛り上がったわけでもない。しかし見た人はおもしろいという隠れた名作です。ガイドも個人的には1位におし、ベスト3に食い込みました。

高校3年の和彦(鶴見辰吾)は実の母(岩下志麻)と育ての父(河原崎長一郎)の家庭で普通に暮らしていた。ある時・謎の女(樋口可南子)がバイトだといって和彦を沢田竜彦(山崎努)のところにつれていく。和彦は「ありきたり」を否定する元カメラマンの竜彦にひかれるが、彼は実の父親で悪性の腫瘍により死を待っていた……

無頼派な実の父と平凡だが実直に生きる育ての父の狭間にゆれる家族を通して生き方を描きます。実の父役が山崎努、育ての父が高度成長期のまじめに働くお父さんイメージそのものの河原崎長一郎とこれしかないというキャスト。最終回が始まる前までどんな結末になるかまったく予想できなかったけど、終わってみるとこれしかない!という結末を迎える最初から最後まで完璧なドラマでした。

ちなみになぜ低視聴率だったかというと、裏番組がベスト100で9位のヒット作『金曜日の妻たちへ』(第1シリーズ)だったからです。ハイレベルな表裏でした。

次は「なぜ隠れた名作が3位に?

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