デジタル接続のススメ
以前より、iPodを家庭のオーディオに接続する方法はありました。しかし、これらは、イヤホン端子やドックからのアナログ音声信号を用いるものが殆どで、音質にこだわるユーザーには敬遠されていました。なぜならば、iPodに収録されたデジタル音声を、それほど高級ではないiPodの中で、アナログ変換など、いろいろな回路を経て外部に出てくるので、音質が「それなり」のグレードになってしまう為です。iPodは、CDと同等の音質を確保できる「WAV」フォーマットでの収録も実用的なので、デジタルのまま取り出してやれば、高級CDプレーヤーにも負けない「プレーヤー」としての素質を持っています。
さらに、もっとマニア的には、CDのように回転する部分が無いiPodは、より高品位なデジタル音声信号を引き出せる潜在能力を秘めているとも言えるのです!
なぜ、今、デジタル接続なのか?
CD、MDの時代は、再生機器とアンプとの接続に「デジタル」を用いるのは珍しくありませんでした。 何故、今、iPodのデジタル接続が話題になっているのでしょうか?筆者鴻池は、約10年前に検討されていた、デジタル音楽の著作権保護ルールが起源と考えています。MP3やインターネットが普及し始めた当時、大量の音楽をHDDに収録し、インターネットを通じてやり取りができる環境が整いつつあり、著作権者は危機感を抱き、著作権者と機器メーカーが共同で、ルール作りがスタートしました。
この時、ポータブルプレーヤーについては、パソコンからのコピー回数を制限したり、プレーヤーからデジタル出力を禁止するなどのルールも盛り込まれました。結局、このルール作りは、いろいろな事情で頓挫し、強制力は無いのですが、現在も、重要な指針とされています。
ところが、iPodを開発するアップル社は、独自に著作権者と話し合うなどの末、コピー回数の制限をなくしたり、インターネット配信時の暗号化を撤廃するなど、「緩い著作権保護」の方向でユーザーに受け入れられてき経緯があり、デジタル出力についても、準備を進めてきたものと思われます。
因みに、デジタル出力に対応しているのは、2005年に発売された第5世代以降のiPodとiPod nano、iPodからのデジタル入力に対応したオーディオ機器は、2008年から登場しています。