イスタンブール/イスタンブールの観光・世界遺産

地下宮殿/イスタンブール

東ローマ帝国時代の5世紀から貯水池として使われていた地下宮殿。その歴史を感じさせる荘厳さと、フォトジェニックな雰囲気が私たちを魅了します。地下宮殿についての情報はこちらです。

執筆者:安尾 亜紀

フォトジェニックな瞑想空間、地下宮殿

地下宮殿

思わず瞑想にふけってしまいそうな雰囲気

薄暗い水面に、森の木々のようにそびえ立つ大理石の柱……。地下宮殿にはどこか違う時代に入りこんでしまったかのような雰囲気を感じます。

イヤフォンガイド

希望する人は入口でイヤフォンガイドサービスを購入することもできます

宮殿という名前がついているけれど、実はここ、ビザンチン帝国時代から続く地下貯水池。黒海に近い水源から19キロかけて水が運びこまれ、ここからアヤソフィアやトプカプ宮殿などに供給されていたのだとか。ローマ時代から残る、何本ものコリント式やイオニア式の柱がオレンジ色の照明でほのかにライトアップされている様は、確かに厳かな宮殿を思わせます。

 
地下宮殿入口

入口は思ったより小さいものの、内部が広いので出口はまた別の場所に

東ローマ帝国時代の6世紀頃、ユスティニアヌス1世によって建設されたこの建物はオスマントルコ帝国時代に再発見され、トプカプ宮殿へも水を供給するようになります。その後再び放置されますが1985年にイスタンブール市によって改めて修復され、1987年より一般公開を開始。貯水池としてはもっと広さがあり、この辺り一帯の建物の地下とつながっているという説もあるとか。 

柱は全て高さ9メートルで、4メートルおきに28本並んでおり、これが12列あるので全部で336本。柱の中には帝国内のあちこちから持ち込まれた再利用モノも含まれているため、種類も色々あり、それがまたエキゾチックな雰囲気をもたらしています。

 

地下宮殿の見どころ

メデューサ

その魔力を封じ込めたかったのか、逆向きに据え付けられたメデューサの顔

地下宮殿の床

あらゆるところに注意書きが出ているほど、本当に濡れてツルツルの床なので、要注意

水面に浮かぶ柱の足元にはまだ浅く水が張っており、中には魚も泳いでいます。歩道が設置されているので、そこを歩いて内部奥まで行けるようになっていますが、湿気のせいか路面は常に濡れていて滑りやすいので、要注意です。

 
涙の柱

これ一本だけ他と模様が異なり、ライトアップされています

途中左手には、ライトアップされた「涙の柱」と呼ばれる柱が一本あります。柱のモチーフが、逆向きの涙のしずく模様な上に、常にしっとりと濡れているからこう呼ばれているのだとか。ただしこの模様については諸説あり、クジャクの羽根模様だという説もあれば、トルコでよく見られる目玉モチーフ、ナザールボンジュだという説もあります。

この柱には穴が一つ空いており、ここに指を入れて手を360度まわせたら願い事がかなうという話もあるため、観光客が行列を作ってここに指を入れてまわして写真を撮っていることも。

 

メデューサ

こちらは横向きのメデューサ。苔で顔がやや緑がかってます

涙の柱からさらに進むと、今度は階段を数段降りて右手に大きな柱が2本あり、それぞれ柱の土台部分にメデューサの顔が使われています。なぜか一つは横向きで、もう一つは上下逆さ。なぜこのように置かれたのかについては、メデューサの目の魔力を封じ込めるためだとか、単なる高さ調整、ローマ文明がギリシャ文明征服の意味を込めたため、あるいは多神教から一神教への移行時代に封じ込めの意味があった……などなど色々な説があります。いずれにせよ、薄暗い地下宮殿でライトアップされた緑色のメデューサの顔が柱の土台として押さえつけられるさまは、その魔力を封じ込めるためでは?と思うのはガイドだけではないはず。

地下宮殿カフェ

出口近くのカフェでちょっと休憩しながらこの空間を堪能するのもオツ

上記3点がメインの見どころですが、出口近くのカフェに行く前に、右に曲がらずちょっと奥まった場所まで進んでみると、そこもまた連なった柱が林のように見えるフォトジェニックなポイントがあります。興味のある人はそちらで写真を撮ってから帰るのもいいかも。

<DATA>
Yerebatan Sarnici (イェレバタン・サルヌジュ 正式名)
Yerebatan Sarayi (イェレバタン・サラユ 通称)
住所:Yerebatan Cad. 13, Sultanahmet
TEL:0212-522-1259
開館時間:9:00~16:45(夏期)
入場料:10トルコリラ
アプローチ:トラムSultanahmet駅より徒歩3分
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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