稼ぐことの大切さと生活コストをバランスさせること
今時の日本に生きる生存戦略として、最初にじっくり考えて欲しいお金のテーマは、「稼ぐ」と「使う」のバランスを自分なりにコントロールすることです。あなたがどれだけ幸せを感じられるかも、このバランスにかかっているといってもいいくらいです。まず、自分の能力に見合う程度の「稼ぎ」をしっかり得ることが大切です。結婚しているのなら2 人での合計所得で必要な稼ぎを得ていく工夫も考えていく必要があります。
40歳での年収100万円の違いは60歳までの20年を考えれば、生涯年収2000万円以上の違いだと考えるくらいの意識を持ってほしいと思います。資産運用的にいえば、同じ人間の同じ能力のパフォーマンスが+2000万円になるかどうかというくらいの意味があるわけです。
次に「稼ぎ」に見合った「生活コスト」を意識することが大切です。私たちは稼いだ金額以上の生活費を捻出することはできません。年収400万円で600万円の生活はできません。年収600万円の人も800万円の生活はできないわけです。当たり前の話ですが、しっかりそこを押さえておかなければなりません。
借りたお金でやりくりしても、いつかは返さなくてはなりません。しかも金利がつくので、借りるより多く返すわけです。
「稼ぎ>生活費」の中で、生活の幸せや満足をしっかり見つけていかなければなりません。それが、現代に生きる私たちの生存戦略のキホンといえます。
稼いだ一部を将来「生きるリスク」に備えていく
先ほどから生存戦略、と言葉を繰り返していますが、実は私たちが考えなければならないのはまさに生存戦略です。というのは私たちは「長生きリスク」を考えるべき時代に生きているからです。私たちは人生を90歳まで意識する時代に入っています。仮に65歳でリタイアするとしたら25年の時間があるわけです。統計的にも、老後は20年の時代にすでに入っており、男性の7割、女性の85%は75歳まで生きる時代になっています。これから数十年先のことを考えれば、医療は進歩するでしょうから、なおさら「どう生きていくか」が重要になってきます。
先ほど述べたとおり、その当てになるのはやはりお金です。仮に国の年金が年間100万円足りないとすれば25年で2500万円必要、というくらいの意識が必要になってきているのです(今ままでなら10年分くらい考えればよかったので半分ですんだ!)。
もし「生存戦略」を真剣に考えるのであれば、現役時代に稼いだお金を使い切るだけではなく、将来に残していかなければなりません。つまり、「稼ぎ」よりも「生活費」が少ないのは当たり前で、その分を貯め、増やしていくことが、現代の生存戦略に欠かせないアプローチとなっているわけです。
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「FP的生存戦略」の話は、どうやらコラム1つで収まらないようです(個人的にはこれでノリノリで本を一冊書きたいくらいです!)。
もうひとつ考えるべき「生存戦略」のテーマがあります。それは資産運用です。稼げるお金に限界があり、生活コストを下げるのにも限界があるのなら、運用の力を借りる必要があります。資産運用についても、「生存戦略」を考えて見てください。
→資産運用の生存戦略を考える。こちらへ