時代の流れが生み出したフレンチアッパーミドルサルーン&SW

プジョー508

ブランド創立200年となる2010年に発表されたコンセプトカー、SR1で提示された新しいブランドデザインを採用するフラッグシップモデル。407シリーズの後継モデルとなる。サルーンとSWと呼ばれるステーションワゴンが用意されている。ベーシックなアリュール(サルーン 374万円、SW 394万円)と装備を充実させたグリフ(サルーン 414万円、SW 437万円)をラインナップ

プジョー508SW

ボディサイズはサルーンが全長4790mm×全幅1855mm×全高1455mm、SWが全長4815mm×全幅1855mm×全高1505mm。407と比べサルーンは全長が105mm、全幅が15mm大きくなった

フレンチブランドのアッパーミドルサイズサルーン&ワゴンは、日本人にとって馴染みの薄い存在だ。そもそも今や、フランス車に高級クラスなし、である。クルマ(という道具)に対しては超合理的で賢明(悪く言うとケチ)な選び方をする国民性が、“むやみにでかいクルマなんぞ無意味で必要ナシ”と言っているようで、むしろ清々しい。人が移動するぶんには小さなクルマで事足りる、というわけだ。

とはいえ、フランス車はフランス人だけを相手にすればいいという時代でもない。アウトバーンをかっ飛ぶドイツ人も意識するだろうし、何より新興市場の視線が気になっているはず。特に、欧州車ブランドに関して言えば、最近、中国市場からの要望に耳を貸す場面が大いに増えている。

プジョー508

ステアリングにはオーディオなどのスイッチ類やパドルシフトを備えた。シート地はアリュールにファブリック、グリフにレザーを採用、SWにはパノラミックガラスルーフを標準装備する

プジョー508も、そういう時代の流れが生み出した、プジョーにしては大きめのサルーン&ワゴンである。

特にサルーンタイプは、中国市場で全生産量の1/3を作って売るというだけあって、以前の407や605に比べると、明らかに豪華で華やいだ雰囲気のクルマになった。エクステリアのディテールやインテリアの質感とデザインなど、いかにも高級車らしい仕上げである。それをして、プジョーのサルーンかと問われれば、答に困るが、それもまた時代の流れということか。

それでもフランス車ファン、プジョーファンは、ご安心を。走りの方はといえば、特に16インチタイヤ+布シートの廉価グレード、アリュールが素晴らしく“プジョー猫アシ”している。その“たおやかさ”は、不思議とプジョー独特で、もうそれだけでも“人と違うクルマを買った”という満足感に浸れるもの。

プジョー508

最高出力156ps/最大トルク240Nmを発生する1.6リッター直噴ターボに6ATを組み合わせる。エンジンのダウンサイジングなどにより10・15モード燃費はサルーンが11km/l、SWが10.8km/lとされた

自分自身の世界観や価値観を、ユニークな“行為”で表現したい。そんな人にオススメのモデル。日本ではセダンよりもワゴンの方がシャレていて、いいと思う。
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