変わりつつある抗がん剤治療
抗がん剤といえば、激しい吐き気。そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?しかし、その状況は大きく変わりつつあります。
しかし、現在はずいぶん様子が異なってきました。新しい抗がん剤の開発に加え、副作用対策の充実、使用方法の工夫によって、入院が必要ではない治療法が急速に増えてきています。
がん三大療法のひとつである抗がん剤治療は、がん治療において非常に重要な役割を持ちます。今回は、抗がん剤治療の最近の話題をわかりやすくご説明しましょう。
新しい抗がん剤の開発と抗がん剤の使用法の工夫
最近、医療現場で用いられるようになった抗がん剤の中には、内服薬として販売されているものも多いです。これも、抗がん剤治療の場所がかわる要因の一つになりました。
今から10年ぐらい前から、新しい抗がん剤がたくさん開発され、日本でも保険が適応されがん治療の現場で用いられるようになってきました。
それらの中には、点滴ではなく飲み薬であるものも多く、副作用も軽減もしくは出にくいものが増えてきました。
さらには、副作用を軽減するための薬剤も使用できるようになったこと、抗がん剤の使用法(プロトコール)の工夫も進んだことなどによって、抗がん剤治療の安全性は従来に比べてもぐっと高まってきました。
これからの抗がん剤治療と町の薬局
外来で抗がん剤治療を行っていく上では、病院や開業医、訪問看護ステーションなどとの連携が重要になってきます。ことに、お薬がどのようのお渡しされるのかを考えると、町の薬局・薬剤師の役割は大きくなりつつあります。
その代表的なものが、
1. 抗がん剤について不明な点が出たときにどうするか?
3. 副作用が出たときの対応をどうするか?
という2点です。
意外なようですが、実はこの2つのポイントをクリアするためには、町の薬局の密接な支援が必要だと考えています。
1については、抗がん剤も医療機関から処方箋を発行する時代になっているので、お薬を受け取るのは町の薬局です。その薬剤師はお薬について専門的な教育をうけた医療従事者です。何かあれば、病院に尋ねるのではなく、まず、薬局の薬剤師に尋ねることで多くの疑問や不安は解消できるでしょう。
2についても、町の薬局の薬剤師が、お薬をお渡しするだけでなく、患者さんの状態を把握できる時代が到来しつつあります(2006年から薬学部も医学部と同じ6年制になり、より臨床的な活動ができる薬剤師が養成されています)。
もちろん、薬局も薬剤師も今まで以上に体制を整え勉強して行かなくてはなりません。
21世紀の地域医療のあるべきかたちのひとつが、この外来での抗がん剤治療と言えるでしょう。