『コクリコ坂から』に登場する風景が今に残る横浜へ

『コクリコ坂から』ポスターは、脚本を手がけた宮崎駿氏によるもの (C)2011高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT

『コクリコ坂から』ポスターは、脚本を手がけた宮崎駿氏によるもの (C)2011高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT


2011年夏に発表されたスタジオジブリの作品『コクリコ坂から』の舞台は、1963(昭和38)年の港町・横浜です。映画の中には、当時の山下公園や桜木町駅などが登場し、ノスタルジックな横浜が魅力的に描かれています。
スタジオジブリ初となる映画記念スポットが、2012年3月、港の見える丘公園に設置されました(2016年8月17日撮影)

スタジオジブリ初となる映画記念スポットが、2012年3月、港の見える丘公園に設置されました(2016年8月17日撮影)

作品ゆかりの「U・Wフラッグ」を掲げたポールとパネルが設置されています(2016年8月17日撮影)

作品ゆかりの「U・Wフラッグ」を掲げたポールとパネルが設置されています(2016年8月17日撮影)


タイトルになっている「コクリコ坂」は実際には存在しませんが、坂道の多い横浜に「本当にありそう」な坂。そんな『コクリコ坂から』の舞台である横浜を歩いてみませんか。

<INDEX>

【山手エリア】コクリコ荘&コクリコ坂はフィクション!?

港の見える丘公園にある、大佛次郎記念館。海の祖父が「猫好きだった」エピソードはここから?(2011年7月10日撮影)

港の見える丘公園にある、大佛次郎記念館。海の祖父が「猫好きだった」エピソードはここから?(2011年7月10日撮影)


主人公である16歳の女の子・海(あだ名はメル=フランス語で海はラ・メールだから)は、港の見える丘にあるコクリコ荘という下宿屋を切り盛りしています。

その「コクリコ荘」ですが、これは架空の建物で、港の見える丘公園の展望台~大佛次郎記念館神奈川近代文学館あたりにあるとされています。
港の見える丘公園からの横浜港の眺め(2011年7月10日撮影)

港の見える丘公園からの横浜港の眺め(2011年7月10日撮影)

港の見える丘公園から見える「東洋信号通信社」の信号旗。海が掲げる「U・Wフラッグ」のよう(2011年7月10日撮影)

港の見える丘公園から見える「東洋信号通信社」の信号旗。海が掲げる「U・Wフラッグ」のよう(2011年7月10日撮影)

コクリコ坂のロケ地巡り!「U・Wフラッグ」がうつるDVDパッケージ

映画に登場する「U・Wフラッグ」。画像はAmazonより(http://amzn.asia/d/aQb2TTM

タイトルである「コクリコ坂」は、海からコクリコ荘に続く坂道という設定。こちらも架空の坂道です。海から港の見える丘公園に続く坂道は、谷戸坂チドリ坂(別名 ムジナ坂)のふたつ。谷戸坂は、元町から港の見える丘公園に続く坂道で、チドリ坂は、港の見える丘公園内にある大佛次郎記念館から新山下に続く坂道です。どちらも「コクリコ坂」のイメージにピッタリ。
神奈川近代文学館の横の霧笛橋を渡って降りていくと、チドリ坂(ムジナ坂)があります(2011年7月10日撮影)

神奈川近代文学館の横の霧笛橋を渡って降りていくと、チドリ坂(ムジナ坂)があります(2011年7月10日撮影)

 
チドリ坂から見た横浜港。「コクリコ荘」から海が見えていた風景は、こんな感じかも?(2011年7月10日撮影)

チドリ坂から見た横浜港。「コクリコ荘」から海が見えていた風景は、こんな感じかも?(2011年7月10日撮影)

 

【山手エリア】橋の下を線路が走り、電車がトンネルに入る場所

印象的なシーンのひとつ。橋の下を線路が走っていて、電車がトンネルに入るのが見える場所──それは、山手公園の近く、「桜道」沿いにありました。現在は、市電ではなく、JR根岸線が走ります。
山手公園を降りていった「桜道」沿いから見えるトンネル(2011年7月13日撮影)

山手公園を降りていった「桜道」沿いから見えるトンネル(2011年7月13日撮影)

 

【元町エリア】映画の中に発見! 横浜ネタ

ところどころに仕込まれた「横浜ネタ」を探すのも、この映画の楽しみです。

■お母さんの靴は「ミハマ」?
40年以上前から変わらないデザインのフラットシューズ。お母さんの赤い靴の中敷きに「ミハマ」っぽいロゴが……!(2011年7月13日撮影)

40年以上前から変わらないデザインのフラットシューズ。お母さんの赤い靴の中敷きに「ミハマ」っぽいロゴが……!(2011年7月13日撮影)

海のお母さんが履いている靴のマークが「ミハマ」っぽい? というのも、ミハマは1923年に元町で生まれたシューズメーカー。当時から、坂の多い山手の女性に愛用されていたということで、海のお母さんが履いていてもおかしくないですね。
元町ショッピングストリートにある、ミハマ元町本店(2011年7月13日撮影)

元町ショッピングストリートにある、ミハマ元町本店(2011年7月13日撮影)


■横浜市電の広告主は?
タカラダ元町本店。1882年から続く、元町ブランドのひとつ(2011年7月13日撮影)

タカラダ元町本店。1882年から続く、元町ブランドのひとつ(2011年7月13日撮影)

かつて横浜市に走っていた市電のシーン。車体広告に「創業1882年 宝田洋食器店」と書かれています。こちらは、横浜元町テーブルウェアショップ「TAKARADA」(社名は「寳田商店」)のことだと思います。1882年の創業時は家具・インテリアショップとして、戦後からは洋食器専門店として元町で営業しているお店です。
創業130年を記念して製作された「MOTOMACHI PHOENIX」シリーズなど、タカラダのオリジナル食器がずらりと(2011年7月13日撮影)

創業130年を記念して製作された「MOTOMACHI PHOENIX」シリーズなど、タカラダのオリジナル食器がずらりと(2011年7月13日撮影)


■坂の下のお肉屋さんはある?
丸英商店のサクサクのコロッケは1個90円 ※取材時(2011年7月10日撮影)

丸英商店のサクサクのコロッケは1個90円 ※取材時(2011年7月10日撮影)

海ともうひとりの主人公・俊が、コクリコ坂の下の肉屋さんでコロッケを買うシーンが登場します。「坂の下のお肉屋さん」と聞いて思い浮かぶのは、代官坂のふもとにある「丸英(まるえい)商店」。1951年創業で、近くに住む60年代の学生たちも、学校帰りにこちらのコロッケを買い食いしていたのだとか。コロッケは1個90円(取材時)。
代官坂のふもとにある肉屋さん「丸英商店」(2011年7月10日撮影)

代官坂のふもとにある肉屋さん「丸英商店」(2011年7月10日撮影)

 
代官坂も「コクリコ坂」のイメージにピッタリの坂です(2011年7月10日撮影)

代官坂も「コクリコ坂」のイメージにピッタリの坂です(2011年7月10日撮影)

 
代官坂にある宮崎生花店(明治6年創業)も、海と俊が自転車で坂道を下るシーンに登場(2018年12月13日撮影)

代官坂にある宮崎生花店(明治6年創業)も、海と俊が自転車で坂道を下るシーンに登場(2018年12月13日撮影)

 

【山下エリア】海と俊が歩いた山下公園は、今も変わらない風景

夏はイチョウの緑に隠れていますが、映画の中では「HOTEL NEW GRAND」の文字がはっきりと見えます(2011年7月4日撮影)

夏はイチョウの緑に隠れていますが、映画の中では「HOTEL NEW GRAND」の文字がはっきりと見えます(2011年7月4日撮影)


主人公の海と俊が、桜木町駅で電車を降り、山下公園の端から端まで歩くというシーンがあります。桜木町駅前や、クイーンの塔(横浜税関)、氷川丸(現 日本郵船氷川丸)、ホテル ニューグランド横浜マリンタワーなどが本当に歩いているように次々と画面に現れます。 ちょっぴり違うのが、横浜マリンタワーはリニューアル前の赤白のカラー(現在はシルバー)で、日本郵船氷川丸は緑の船体(現在は黒)が描かれていること。チェックしてみて!
横浜マリンタワーの開業は1961年。映画の中では赤白カラーで描かれていますが、現在はシルバーにリニューアル(2011年7月4日撮影)

横浜マリンタワーの開業は1961年。映画の中では赤白カラーで描かれていますが、現在はシルバーにリニューアル(2011年7月4日撮影)


■航洋丸は氷川丸にそっくり!?
ラストの重要なシーンで「航洋丸」という外国航路船が登場します。この操舵室は、まるで日本郵船氷川丸のよう。氷川丸は乗船して見学することができますので、氷川丸の操舵室で船長さんのセリフを思い出してみては。
1961年から山下公園に係留されている氷川丸(2011年7月4日撮影)

1961年から山下公園に係留されている氷川丸(2011年7月4日撮影)


信号旗グッズをゲットしよう
映画公開当時、山下公園周辺は「U・Wフラッグ」でいっぱいでした!(2011年7月4日撮影)

映画公開当時、山下公園周辺は「U・Wフラッグ」でいっぱいでした!(2011年7月4日撮影)


映画のアイコン的存在になっている「U・Wフラッグ」。信号旗はアルファベットや数字を表していて、UWのふたつで「安全な航行を祈る」という意味になります。海は、その「U・Wフラッグ」を毎日揚げるのが日課になっています。
信号旗をデザインした、ピンズ(540円税込)(画像提供:エクスポート)

信号旗をデザインした、ピンズ(540円税込)(画像提供:エクスポート)


その信号旗グッズを扱っているのが、大さん橋国際客船ターミナルにあるショップ「エクスポート」。ピンズ(500円)や、信号旗の意味がわかり、インテリアにもなるポスター(3500円、額付き2万3500円)、ランチョンマットにもなるシグナルフラッグ U旗、W旗(各1800円)、マグカップ(840円)などがあります。大さん橋のショップ以外のエクスポートのショップ(→こちら)や、オンラインショップ メイド・イン・ヨコハマでも購入可能。
完成披露会見でU・Wフラッグを振る、宮崎吾郎監督と海の声を担当した長澤まさみさん(2011年7月4日撮影)

完成披露会見でU・Wフラッグを振る、宮崎吾郎監督と海の声を担当した長澤まさみさん(2011年7月4日撮影)

 

【磯子区】まだある!横浜に残る『コクリコ坂から』の風景

■『コクリコ荘』のモデル?和洋折衷住宅
「コクリコ荘」と同じ和洋折衷住宅の旧柳下邸(2011年6月26日撮影)

「コクリコ荘」と同じ和洋折衷住宅の旧柳下邸(2011年6月26日撮影)


『コクリコ荘』という下宿屋は、和風建築と洋風建築がミックスされたような、元病院だった建物という設定。この「和洋折衷住宅」にあてはまる建物を、横浜シティガイド協会の方に教えていただきました。根岸なつかし公園(旧柳下邸)です。明治・大正期の豪商・柳下家の人々が守り抜いた貴重な建物で、内部を見学することができます。高台にあり、涼しい風が吹き抜けるレトロな建物は、『コクリコ荘』の雰囲気を感じさせてくれます。

■横浜市電の勇姿を間近に見られる
1904年から1972年まで横浜市内を走っていた横浜市電。映画の中の1963年の横浜では、元気に走る姿が見られます。
映画の舞台1963年の横浜を走る、横浜市電の勇姿が間近に見られます(2011年6月26日撮影)

映画の舞台1963年の横浜を走る、横浜市電の勇姿が間近に見られます(2011年6月26日撮影)


現在も横浜市電の姿が見られるのは、磯子区にある横浜市電保存館。初期の500系から最後に造られた1600型まで展示されています。0ゲージ、HOゲージ車両が走る大パノラマもあります。

映画『コクリコ坂から』を見てから横浜を歩くもよし、見る前に横浜を歩くもよし。映画の中のレトロな横浜は、現代にも息づいています。ぜひ横浜で体感してださい。

【関連サイト】
コクリコ坂から 公式サイト


【横浜がロケ地となっているドラマ、映画】
人気ドラマ『世界一難しい恋』のロケ地 横浜をめぐる(2016年5月)
朝ドラ「まれ」横浜編で希が食べ歩いたケーキ屋はここ(2015年5月)
人気アニメ『文豪ストレイドッグス』の聖地 横浜へ(2016年12月)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。