『コクリコ坂から』のロケ地、横浜を歩く

『コクリコ坂から』ポスターは、脚本を手がけた宮崎駿氏によるものundefined(C)2011高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT

『コクリコ坂から』ポスターは、脚本を手がけた宮崎駿氏によるもの (C)2011高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT

2011年夏に発表されたスタジオジブリの作品『コクリコ坂から』の舞台は、1963(昭和38)年の港町・横浜です。映画の中には、当時の山下公園や桜木町駅などが登場し、ノスタルジックな横浜が魅力的に描かれています。

タイトルになっている「コクリコ坂」は実際には存在しませんが、坂道の多い横浜に「本当にありそう」な坂。そんな『コクリコ坂から』の舞台である横浜を歩いてみませんか。


■コクリコ荘&コクリコ坂はフィクション!?(山手エリア)

港の見える丘公園にある、大佛次郎記念館。海の祖父が「猫好きだった」エピソードはここから?

港の見える丘公園にある、大佛次郎記念館。海の祖父が「猫好きだった」エピソードはここから?

主人公である16歳の女の子・海(あだ名はメル=フランス語で海はラ・メールだから)は、港の見える丘にあるコクリコ荘という下宿屋を切り盛りしています。

その「コクリコ荘」ですが、これは架空の建物で、港の見える丘公園の展望台~大佛次郎記念館神奈川近代文学館あたりにあるとされています。

 

港の見える丘公園からの横浜港の眺め

港の見える丘公園からの横浜港の眺め

港の見える丘公園から見えるのは、「東洋信号通信社」の信号旗

港の見える丘公園から見えるのは、「東洋信号通信社」の信号旗

タイトルである「コクリコ坂」は、海からコクリコ荘に続く坂道という設定。こちらも架空の坂道です。海から港の見える丘公園に続く坂道は、谷戸坂チドリ坂(別名 ムジナ坂)のふたつ。谷戸坂は、元町から港の見える丘公園に続く坂道で、チドリ坂は、港の見える丘公園内にある大佛次郎記念館から新山下に続く坂道です。

 
神奈川近代文学館の横の霧笛橋を渡って降りていくと、チドリ坂(ムジナ坂)があります

神奈川近代文学館の横の霧笛橋を渡って降りていくと、チドリ坂(ムジナ坂)があります

チドリ坂から見た横浜港。「コクリコ荘」から海が見えていた風景は、こんな感じかも?

チドリ坂から見た横浜港。「コクリコ荘」から海が見えていた風景は、こんな感じかも?

■橋の下を線路が走り、電車がトンネルに入る場所(山手エリア)
印象的なシーンのひとつ。橋の下を線路が走っていて、電車がトンネルに入るのが見える場所──それは、山手公園の近く、「桜道」沿いにありました。現在は、市電ではなく、JR根岸線が走ります。
山手公園を降りていった「桜道」沿いから見えるトンネル

山手公園を降りていった「桜道」沿いから見えるトンネル


映画の中に発見! 横浜ネタ

ところどころに仕込まれた「横浜ネタ」を探すのも、この映画の楽しみです。

■お母さんの靴は「ミハマ」?(元町エリア)

元町ショッピングストリートにある、ミハマ元町本店

元町ショッピングストリートにある、ミハマ元町本店

海のお母さんが履いている靴のマークが「ミハマ」っぽい? というのも、ミハマは1923年に元町で生まれたシューズメーカー。当時から、坂の多い山手の女性に愛用されていたということで、海のお母さんが履いていてもおかしくないですね。

 
40年以上前から変わらないデザインのフラットシューズ

40年以上前から変わらないデザインのフラットシューズ


■横浜市電の広告主は?(元町エリア)
タカラダ元町本店。1882年から続く、元町ブランドのひとつ

タカラダ元町本店。1882年から続く、元町ブランドのひとつ

かつて横浜市に走っていた市電のシーン。車体広告に「創業1882年 宝田洋食器店」と書かれています。こちらは、横浜元町テーブルウェアショップ「TAKARADA」(社名は「寳田商店」)のことだと思います。1882年の創業時は家具・インテリアショップとして、戦後からは洋食器専門店として元町で営業しているお店です。

 
タカラダのオリジナル食器。左:DOG&CATプレートundefined右:創業130年を記念して製作された「MOTOMACHI PHOENIX」シリーズ

タカラダのオリジナル食器。左:DOG&CATプレート 右:創業130年を記念して製作された「MOTOMACHI PHOENIX」シリーズ


■坂の下のお肉屋さんはある?(元町エリア)
丸英商店のサクサクのコロッケは1個90円

丸英商店のサクサクのコロッケは1個90円

海ともうひとりの主人公・俊が、コクリコ坂の下の肉屋さんでコロッケを買うシーンが登場します。

「坂の下のお肉屋さん」と聞いて思い浮かぶのは、代官坂のふもとにある「丸英(まるえい)商店」。1951年創業で、近くに住む60年代の学生たちも、学校帰りにこちらのコロッケを買い食いしていたのだとか。コロッケは1個90円(取材時)。

 
代官坂も「コクリコ坂」のイメージにピッタリ!

代官坂も「コクリコ坂」のイメージにピッタリ!

代官坂のふもとにある肉屋さん「丸英商店」

代官坂のふもとにある肉屋さん「丸英商店」


海と俊が歩いた山下公園は、今も変わらない風景

主人公の海と俊が、桜木町駅で電車を降り、山下公園の端から端まで歩くというシーンがあります。桜木町駅前や、クイーンの塔(横浜税関)、氷川丸(現 日本郵船氷川丸)、ホテル ニューグランド横浜マリンタワーなどが本当に歩いているように次々と画面に現れます。 
夏はイチョウの緑に隠れていますが、映画の中では「HOTEL NEW GRAND」の文字がはっきりと見えます

夏はイチョウの緑に隠れていますが、映画の中では「HOTEL NEW GRAND」の文字がはっきりと見えます

横浜マリンタワーの開業は1961年。現在はシルバーにリニューアル

横浜マリンタワーの開業は1961年。現在はシルバーにリニューアル

ちょっぴり違うのが、横浜マリンタワーはリニューアル前の赤白のカラー(現在はシルバー)で、日本郵船氷川丸は緑の船体(現在は黒)が描かれていること。チェックしてみて!

 

■航洋丸は氷川丸にそっくり!?(山下エリア)
1961年から山下公園に係留されている氷川丸

1961年から山下公園に係留されている氷川丸

ラストの重要なシーンで「航洋丸」という外国航路船が登場します。この操舵室は、まるで日本郵船氷川丸のよう。氷川丸は乗船して見学することができますので、氷川丸の操舵室で船長さんのセリフを思い出してみては。

 
■信号旗グッズをゲットしよう(山下エリア)
完成披露会見でU・Wフラッグを振る、宮崎吾郎監督と海の声を担当した長澤まさみさん(2011年7月4日)

完成披露会見でU・Wフラッグを振る、宮崎吾郎監督と海の声を担当した長澤まさみさん(2011年7月4日)

映画のアイコン的存在になっている「U・Wフラッグ」。信号旗はアルファベットや数字を表していて、UWのふたつで「安全な航行を祈る」という意味になります。海は、その「U・Wフラッグ」を毎日揚げるのが日課になっています。

 
信号旗をデザインした、ピンズ(500円)

信号旗をデザインした、ピンズ(500円)

その信号旗グッズを扱っているのが、大さん橋国際客船ターミナルにあるショップ「エクスポート」。ピンズ(500円)や、信号旗の意味がわかり、インテリアにもなるポスター(3500円、額付き2万3500円)、ランチョンマットにもなるシグナルフラッグ U旗、W旗(各1800円)、マグカップ(840円)などがあります。大さん橋のショップ以外のエクスポートのショップ(→こちら)や、オンラインショップ メイド・イン・ヨコハマでも購入可能。 ※価格は税抜

 

まだある! 横浜に残る 『コクリコ坂から』の風景

■『コクリコ荘』は和洋折衷住宅(磯子区)
『コクリコ荘』という下宿屋は、和風建築と洋風建築がミックスされたような、元病院だった建物という設定。この「和洋折衷住宅」にあてはまる建物を、横浜シティガイド協会の方に教えていただきました。根岸なつかし公園(旧柳下邸)です。明治・大正期の豪商・柳下家の人々が守り抜いた貴重な建物で、内部を見学することができます。高台にあり、涼しい風が吹き抜けるレトロな建物は、『コクリコ荘』の雰囲気を感じさせてくれます。
「コクリコ荘」と同じ和洋折衷住宅の旧柳下邸

「コクリコ荘」と同じ和洋折衷住宅の旧柳下邸


■横浜市電の勇姿を間近に見られる(磯子区)
映画の舞台1963年の横浜を走る、横浜市電の勇姿が間近に見られます

映画の舞台1963年の横浜を走る、横浜市電の勇姿が間近に見られます

1904年から1972年まで横浜市内を走っていた横浜市電。映画の中の1963年の横浜では、元気に走る姿が見られます。

現在も横浜市電の姿が見られるのは、磯子区にある横浜市電保存館。初期の500系から最後に造られた1600型まで展示されています。0ゲージ、HOゲージ車両が走る大パノラマもあります。

 

映画『コクリコ坂から』を見てから横浜を歩くもよし、見る前に横浜を歩くもよし。映画の中のレトロな横浜は、現代にも息づいています。ぜひ横浜で体感してださい。

【関連サイト】
コクリコ坂から 公式サイト

【横浜がロケ地となっているドラマ、映画】
人気ドラマ『世界一難しい恋』のロケ地 横浜をめぐる(2016年5月)
朝ドラ「まれ」横浜編で希が食べ歩いたケーキ屋はここ(2015年5月)
アニメ『文豪ストレイドッグス』エンディングの聖地は象の鼻パーク(2016年4月)


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