海外市場で高成長するリンテック
シールといえばスーパーの値札シールなど紙のイメージが強い方も多いと思います。現在の日本国内でも圧倒的な数量は紙。ただし前述したように商品に対する高級感、デザイン性、安全性・機能性など要求されるレベルが高まると、材質は紙ではなくフィルムへ変化してきます。同社は日本のシール・ラベル市場の中で付加価値の高いフィルムベースでは6割を占める大手企業ですが、経済成長著しいアジアを中心に業績を伸ばしています。2000年3月期は売上高1,386億円に対し海外売上高は156億円(11.3%)でしたが、2010年3月期は売上高1,893億円に対し、海外売上高は501億円(26.5%)と10年で3.2倍になっています。海外売上高の年平均成長率は12.4%で、アジア地域に限れば年平均成長率は16.4%になります。
こうした旺盛なアジアを中心とした需要を更に取り込むため、海外工場の設備投資を積極化しており、タイ工場の新設や中国・蘇州工場の生産能力を強化する予定です。蘇州は中国最大の消費地である上海に近く、消費のレベル向上が直需要に結びつくのでしょう。こうして同社は中国市場の粘着フィルムの需要増への対応や東南アジア、インドでの拡販の対応を進めるなど積極的に海外市場での売り上げを増やし、2014年の海外売上高比率を40%まで拡大させる予定です。
太陽電池向けでも高評価、タッチパネルにも進出
リンテックの高い粘着技術は今注目度の高い太陽電池向けにも役に立っています。太陽電池は屋外に置かなければならず、常に風雨や太陽光にさらされています。表面はガラスで保護されますが、裏面も埃や紫外線、水蒸気などから保護しなければならず、この裏面の保護が太陽電池の耐久性や性能を左右するといっても過言ではありません。従来この裏面を保護するためのバックシート用フィルムには、デュポンのフッ素製フィルムが独占していましたが、供給不足で価格が高止まりしていました。一方、リンテックのバックシートはフッ素フィルムを使わず、フッ素をマイクロメートル単位で塗り高温加熱し、フッ素コーティングをさせることで対応させました。同社の高い粘着技術を応用するため量産化も可能で、安定供給と低価格を実現しシェアを高めています。
さらにデジカメやスマートフォン向けなど市場が急拡大しているタッチパネル市場でも需要があります。この分野で同社のキズが付きにくいハードコートフィルムや指紋を付きにくくするコーティング加工技術などが生きていますが、今後はフィルム貼り合せなどの部材にも進出し成長分野とする予定です。
同社株は100株単位で現在26万円前後で購入できます。注目していきたい企業です。