スマートハウス・エコ住宅/スマートハウス・エコ住宅の基礎知識とトレンド

注目のスマートグリッドで住宅はどう変わる?

東日本大震災による原子力発電所の事故を受け、自然エネルギーによる発電がさらに大きな役割を担うことになりそうです。それに伴い、注目されたのが「スマートグリッド」。次世代の電力網ということですが、果たしてこれからの家や暮らしにどの関わってくるのでしょうか。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

スマートグリッドとは?

最初にスマートグリッドという言葉について少し説明しておきましょう。

スマートグリッド

スマートグリッドの採用はそれほど遠い未来のことではないと考えられています

スマートグリッドとは、電力の流れを発電から消費するまでの全てにおいて、制御・最適化した電力網とその周辺システムのことをいいます。もともとは、多くの電力会社があるために送電ロスや停電が多いアメリカの電力業者が提唱したもので、オバマ大統領が就任間もなく掲げた政策「グリーン・ニューディール」のひとつとして話題になりました。

大規模な発電所から一方的に電力を送り出していた従来の電力網は、需要のピーク時を基準にして発電及び送電しているためムダが多いと言われていました。そこで、供給側だけでなく、使用者側の電力消費量を含めてモニタリング&コントロールして、最小のコストで最適な電力を供給する送電網を構築しようという概念が生まれたのです。これがスマートグリッドのはじまりです。当然、モニタリングや発電・送電のコントロールは、IT技術が積極的に利用されることになります。

エコ発電には欠かせない電力網

スマートグリッドに熱い視線が注がれる一番のポイントは、この「供給と消費の両面から制御・最適化する」という点にあります。

原子力発電の推進が、今後困難になりそうな状況を受け、代わりに太陽光や自然エネルギーからつくられた電力が注目されていますが、発電量が一定でないという弱点があります。スマートグリッドでは、地域の需要に応じて電力を融通し合うなどして、不安定な自然エネルギーによる発電を補え、自然エネルギーからつくられた電力を現在よりも有効に使えるようになると考えられています。

具体的には、昼間など太陽光発電や風力発電でしっかり発電できる間は、発電した電力を電気自動車や家庭用蓄電池に蓄電し、電力使用のピーク時や、夜間など発電ができないときに使います。こうすれば、大規模な発電所もスリム化でき、現在よりも小規模な送電網でまかなう仕組みをつくることで、送電ロスも減らすことができます。電力のやりくりは、供給側と消費側だけでなく、比較的隣接しているコンパクトなそれぞれの地域の送電網どうしでも行うなど、より効率的のよい電力網をつくることによって、不安定な自然エネルギーによる発電も、電力網に組み込むことができるようになります。

それでは、将来の電力網がこのようなスマートグリッドになるとしたら、住宅はどのように変化していくのでしょうか。また、既存の住宅はどのような準備をしておかなければならないのでしょうか。

次ページで、具体的に考えてみましょう。

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