裁判員制度/裁判員制度とは?

裁判員制度で就業規則を変更する大手企業の例(2ページ目)

裁判員制度が開始されたことで、企業でも従業員が裁判員や裁判員候補者に選ばれた際の対応を検討する必要が出てきました。就業規則を改定して裁判員休暇制度を導入する際の、ポイントとサンプルを紹介します。

酒井 将

執筆者:酒井 将

暮らしの法律ガイド

裁判員休暇を就業規則に盛り込む際のサンプル

規定する内容のポイントとしては、裁判員休暇の対象者の範囲、休暇当日の給与の取り扱い、事前の休暇申請手続きや事後の証明書類の提出手続きなどがあります。なお、証明書は裁判所から発行がなされます。さらに、細かいところでは、当該休暇日の通勤手当の控除の有無や、裁判員候補者として出頭したが最終的に裁判員に選任されず、午前中で終了した場合の午後の休暇の取り扱いなども決定しておくと、なお良いでしょう。

サンプル(裁判員特別休暇)
第○条 当社は、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の施行に伴い、「休暇」につき、「裁判員特別休暇」を定める。
次の各号のいずれかに該当する従業員から、事前に所定の様式により申請があった場合、法定の年次有給休暇とは別に、裁判員特別休暇を与える。
(1)裁判員候補者として裁判所に出頭するとき
(2)裁判員または補充裁判員として裁判審理に参加するとき
2 裁判員休暇の付与日数は、裁判員候補者や裁判員として裁判所に出頭するために必要な日数とする。
3 裁判員候補者として、裁判員選任手続きの期日に出頭したり、裁判員として裁判審理に参加した際には、出社後遅滞なく、裁判所が発行する証明書等を提出しなければならない。
4 裁判員休暇期間中は、所定労働時間労働した際に支払われる通常の賃金を支給する。
5 会社は、裁判員または補充裁判員の辞退を希望する従業員が、その従事する業務内容等についての証明を求めた場合は、真正かつ正確な事実を証明する文書の作成等について協力する。

4項では特別有給休暇を付与するというパターンになっていますが、必ずしも有給である必要はありません。また、5項では、従業員が裁判員の辞退を申立てた場合の会社の協力義務について規定しています。裁判員の辞退は、「重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがある」と裁判所が認めた場合に限って認められます。辞退の申立てがあった場合には、事業所の規模、担当業務の代替性、業務の日時変更の可能性、事業への影響、等々を考慮して判断されるので、その際に会社の協力が必要な場合があるためです。

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