裁判員休暇制度の導入ポイント
企業は裁判員になった従業員の休暇取得を認めないといけない
従業員が裁判員となるために仕事を休むことは、公民権の行使として法律上認められていますから、企業は従業員の休暇取得を認めなければなりません。また、従業員が仕事を休んだことを理由に、企業が従業員を不利益に扱うことは禁じられています。もっとも、仕事を休んだ日の給与については、必ずしも有給とする必要はなく、無給の取り扱いでも問題はありません。
このような従業員が裁判員となった場合の休暇の取り扱いについて、就業規則に盛り込むことを検討している企業が増えています。
多くの従業員が裁判員や裁判員候補者になるであろう大企業では、CSR(企業の社会的責任)の一環として、新たに「特別有給休暇」を創設しているところが多いようです。他方で、中小企業にとっては頭の痛い問題といえます。というのも、原則として裁判員に選ばれた従業員は、よほどのことがない限りは、「仕事が忙しい」などの理由で、裁判員を辞退することはできませんが、裁判所では、審理にかかる日数について「概ね1週間程度」との見通しを示しており、それ以上に長引くケースが出てくることも考えられるので、人員体制に余裕のない中小企業では、業務に支障が生じる可能性が否定できないからです。
<参考条文>
労働基準法 第7条(公民権行使の保障)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律 第71条(不利益取扱いの禁止)
労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことその他裁判員、補充裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
では、裁判員休暇制度を就業規則等に盛り込む場合の具体的な規定内容は、どうすればよいでしょうか?