最近、歩きにくくなったり、物忘れがひどくなったり、トイレが近くなったと思ったことはありませんか? まあ、歳のせいかと思っていて諦めてしまってはないでしょうか? 実はこれらの症状は「特発性水頭症」という病気が原因であることがあります。治療できる可能性もあるので、医療機関を受診してみましょう。

特発性正常圧水頭症とは

自発性正常圧水頭症

黄色い矢印の部分が過剰にたまった髄液。この髄液の流れを改善させれば症状もよくなります。(出典:http://www.akita-noken.jp/index.php?id=410)

人間の脳は髄液で満たされていて、頭蓋骨の中に収まっています。髄液はエンジンの冷却水のように循環しているものなのですが、とくに誘発される原因もなく、髄液の循環と吸収が悪くなり、徐々に頭の中に髄液が溜まってしまうことがあります。この病気を「特発性正常圧水頭症」といいます。

特発性正常圧水頭症の症状

特発性水頭症の主な症状は、歩行障害、認知障害、尿失禁の3つ。これらの症状に1つでも当てはまれば、私たち専門家は特発性正常圧水頭症を疑い、検査を勧めます。具体的には下記のような症状が出ている場合は専門医を受診してみてください。
  • すり足気味で、足が上がらない歩き方をしてしまう
  • 足先が開き気味で、小刻みな歩き方になる
  • ちょっとした段差につまづき、転んでしまう
  • 歩くときなかなか一歩目が出ない
  • 物忘れが多くなってきた
  • 以前好きだったものに興味を示さなくなってきた
  • 表情が乏しくなった
  • 尿意が我慢できず、失禁してしまう

特発性正常圧水頭症の検査

特発性正常圧水頭症を診断するには、まず、MRIやCT検査を行い、髄液の溜まり具合をチェックします。髄液が溜まっている特発性正常圧水頭症が疑われた場合は、背中から注射針を刺して、髄液を約30mlほど抜くタップテストという検査を行います。この検査は局所麻酔で行う処置で、痛みも少ないので、あまり心配しないようにしましょう。

タップテストで髄液を抜いたことで、歩き方や顔の表情、尿意の状態が改善されれば、特発性正常圧水頭症と診断します。普通は外来で行う検査ですが、2~3日から1週間程度の短期入院をしていただき、入院中に何回かタップテストを行い、症状の改善をチェックすることもあります。それほど変化がなくても、定期的にMRIやCTを行い、画像を比較することが重要です。

特発性正常圧水頭症の治療

特発性正常圧水頭症の治療は、手術治療が第一選択となります。脳に溜まった髄液を、皮膚に埋め込んだ細いチューブを通して腹部に流す「髄液シャント術」という手術を行います。方法は3つありますが、1が選択されることが多いです。

1. 脳室-腹腔シャント術
2. 腰椎-腹腔シャント術
3. 脳室-心房シャント術

この手術は全身麻酔で行い、約1~2時間で終了します。入院期間は7~10日程度で、保険適応です。現在は水の流を細かく調節できるバルブが付いた可変式のシャントシステムを使用することが多く、一度、埋め込んでしまえば、髄液の溜まり具合をチェックしながら、痛みがなく調整することができます。

特発性正常圧水頭症は治療可能な病気です。冒頭のような不安な症状がある場合は、まず病院で検査を受けてみましょう。
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