退職金と企業年金の大きな違い
ところで、退職金と企業年金の違いについてもほとんどの人はわからないと思います。会社もはっきりと説明してくれないことがありますので、謎は深まるばかりです。まず、退職金はその名の通り、退職したときにもらえるお金の仕組みで、一時に一括でもらうことになります。退職金の規程を定めて、支払いのルールを決めるのが一般的です。
企業年金は年金と名のつくとおり、一定期間、定期的にお金がもらえる年金の仕組みを会社が行っていることが特徴です。これは法律にもとづく制度(確定給付企業年金や確定拠出年金など)を使うことが一般的です。企業年金規約や退職年金規程などを定めて、支払いのルールを決めています。退職年金とか確定給付企業年金など呼び方が異なる場合もあります。
ところで、企業年金は退職金に化けることがあります。「私は年金払いしなくていいので、今まとめて現金でほしい」という人には一括して支払うことができるのです。つまり、企業年金は年金でもあり退職金でもあるわけです。
また、会社の多くは「退職金制度を作る→企業年金制度を作る」とステップアップするため、退職金と企業年金は同じようなものとして説明されたりします。(「我が社には退職金制度があります。これは企業年金制度を使って積み立てています」など)
このあたりも退職金と企業年金の違いがわかりにくくなる理由です。
企業年金は「自社の制度」のみ知ればいい
会社員のおおむね8~9割は退職金制度があり、会社員の5割(つまり2人に1人)くらいは企業年金があるとされます。また、使われている制度も、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金など種類があり、細かい条件については一社ごとに異なります。
私のほうでは、これからすべての制度について説明していくことになりますが、読者の皆さんにおいては「自分の会社の制度」の把握に意識を持ってほしいと思います。
なぜなら、自分の会社の制度は、どんな優秀なFPに相談してもわからないからです。自分の加入している制度については、自分で社内の規定やパンフレットを入手しなければならないのです。自分の制度は自分で調べる、という意識を持ってほしいのです。
逆にいえば、自分に関係のない制度のことまで知る必要はありません。例えば家を買ったときだけ住宅ローン減税を調べるように、自分が入っている企業年金のことだけを確認しておけばいいわけです。
もしかしたら1000万円のお金を知らずにいるかも?
退職金や企業年金は最初に述べたとおり、1000万円あるいはそれ以上になる可能性もある大きなお金です。もし、銀行の預金通帳に1000万円があったとしたら、無関心に放ったらかしにはしないと思います。同じ1000万円が会社の制度であったら無関心というのはおかしな話ではありませんか?
制度の種類やチェックしておきたいポイントなどを解説していきますので、これからの記事を参考に「私の退職金や企業年金」についてぜひ知ってほしいと思います。