他のクルマよりもほんの少し幸せ
2010年にモデルチェンジを果たした5ドアのコンパクトハッチ。国内にはベーシックモデル(209万円)と装備を充実させたエクスクルーシブ(239万円)をラインナップする。サイズは全長3955mm×全幅1730mm×全高1530mm
どう? 凄いでしょう??
フロントウインドウが屋根まで伸びていて、ルーフのまん中あたりにメッキの窓枠がある。ミニバンのC4ピカソで取り入れた手法を、なんとコンパクトカーの、しかも(DS3ではなく)よりフツウな方の車種に採用してしまった、ってあたりがいかにも“ヘンコ”なシトロエンらしい。
継ぎ目のない、大きなウインドウの効果は絶大で、乗っていると実に開放感たっぷり。晴れの日はもちろん、雨や雪の日、そして夜でも、なんかこう自然の一部を手に入れて得した気分になる。そういう日常って、同じ道を走っている他の人よりもきっと、ほんの少しかも知れないけれど、幸せなはず。
もちろん、クルマとしては超の付く実用車である。大人4人が気分よく移動できるパッケージ(乗車定員は5人)。ダッシュボード周りのデザインがちょっとだけ凝っていて、そのぶんオーナードライバーへの心配りが利いているのかも。乗り心地はといえば、このサイズで初めてシトロエンらしさを、少しだけ手に入れた。
日本車で言うと、ヴィッツやフィットクラスである。輸入車ではフォルクスワーゲン・ポロやプジョー207がライバル。200万円前後という価格。求め易いとも言えるけれど、同じクラスの国産車に比べればかなり割高でもある。けれども思い出して欲しい。このクルマには、日々少しづつ積み立てられる幸せ感が余分にある。
チリも積もればヤマとなり……。それが幸せのヤマだったとしたら……。