加齢臭は「ノネナール」という物質が変化することで引き起こされます。その原因は、活性酸素が多い状態である「酸化ストレス」にあることが分かっています。
血管やDNAなどを傷めてしまう「酸化ストレス」という状態は、ED(勃起不全、勃起障害)を招く恐れがあるといわれています。今回は、においとEDとの関係について考えてみましょう。
酸化ストレスの高まりと共に増えるノネナール
皮脂の酸化分解から生まれるノネナールが加齢臭の原因
ノネナールの量は、酸化ストレスが高まれば高まるほど増えていきます。ノネナールが増えた分だけ、加齢臭は強まります。逆に言えば、加齢臭が強ければ強いほど、酸化ストレスが高まっている状態と考えられます。
酸化ストレスとは、体内に活性酸素が多い状態です。活性酸素で傷つけられた血管は、勃起に関係する一酸化窒素を十分に分泌することができません。ですから、酸化ストレスによる血管の損傷がEDを招いている可能性もあるのです。
生活習慣病リスクのバロメーターにも
一般に、ノネナールは悪臭の元と考えられがちですが、ノネナールそのものは本来、ロウソクのようなにおいと似ています。前述したように、この物質は、加齢で増えた皮脂が酸化分解を繰り返すことで発生します。すれ違いざまに一瞬におう程度でなく、しばらく周囲に漂うような、きつい加齢臭の場合には、血管の中のコレステロールや脂肪酸の酸化が進んでいることも考えられます。
繰り返される酸化は、生活習慣病のリスクを高めます。実際、代表的な生活習慣病である高血圧や脂質異常症の患者さんが、同時に強い体臭の持ち主であることは珍しくありません。
このように、においの強弱は生活習慣病のバロメーターとして役立ちます。生活習慣病はEDを招くリスク要因でもあるので、自分の加齢臭が強いと感じたら、EDについても意識して調べてみるとよいかもしれません。
生活習慣病の一種でもあるED
生活習慣病の疑いがあると、なぜ、EDの可能性があるのでしょう。それは、生活習慣病もEDも「動脈硬化」によって起こるからです。先述の通り、生活習慣病は、体内の一酸化窒素が不足し、動脈が硬化することで起こります。動脈硬化は血液の円滑な流れを妨げます。脳の動脈が硬化すると脳梗塞に、心臓周りの動脈が硬化すると心筋梗塞を引き起こします。
EDは、その動脈硬化が陰茎で起きている状態です。ですから、他の生活習慣病によって引き起こされる一方、ED自体が生活習慣病であるともいえるのです。
においによってEDに気づくことができれば、動脈硬化を原因とする、他の生活習慣病を防ぐこともできるはずです。
加齢臭対策は食生活の見直しから
抗酸化作用のある野菜や果物を食べるのも効果的な加齢臭対策
対策の基本は、毎日の食生活を見直すことです。ノネナールは活性酸素の酸化で発生しますから、抗酸化作用のある食品を多くとるように努めるとよいでしょう。
具体的には、ビタミンCやビタミンEを多く含む野菜や果物を意識的に食べることです。ただし、果物に含まれる糖分は意外に多いので、注意しましょう。
汗腺機能を高めて、たっぷりと汗をかくこともノネナールの分泌を抑える効果があるといわれています。半身浴をするなど、入浴方法も工夫するとよいでしょう。
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