Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

生活の“色彩”をも変える、実用的かつ美しいA5

A4をベースとした美しい2ドアクーペ、A5。面白いことに、ニッチな印象が強いスペシャリティながら、アウディのラインナップ中で最もバリエーション豊かなモデルだ。実用的なサイズで美しいクーペには“生活のリズムを変えることなく色彩を変える”、そんな力があるような気がしてならない。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

最もバリエーション豊富なニッチモデル

アウディA5

フロントアクスルを前方に配置することなどで、ショートオーバーハングやロングホイールベースなどスポーティなスタイルを手に入れた2ドアクーペ。最高出力211psを発生する2リッター直噴ターボを搭載、ベーシックモデル(592万円)に加えよりスポーティな内外装のSライン(632万円)を用意する。最高出力354psの4.2リッター直噴V8エンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルのS5(904万円)もラインナップ

アウディA5カブリオレ

4シーターオープンのA5カブリオレ。クーペと同じ2リッター直噴ターボを搭載、価格は648万円となる。エレガントなソフトトップはオープン時15秒、クローズ時17秒で開閉可能。S4と同じ3リッター直噴スーパーチャージャーエンジンを搭載するS5カブリオレ(939万円)もラインナップする

アウディのモデルラインナップに面白い現象が起こっている。ラインナップの骨格を成しているのはA4-A6-A8という昔からあるラインであり、これにハッチバックのA3を加えた4モデルがアウディの主力車種である。言い換えると、それ以外のモデルたちは、どちらかといえばニッチマーケット狙い。

なかでもA5はA4ベースのスペシャリティということで、感覚的に最もニッチな印象が強い。ところが。そんなA5のモデルバリエーションが、ラインナップ中、最も多いのだから、面白い。

すなわち、A5クーペ、A5カブリオレ、A5スポーツバック(5ドア)、S5クーペ、S5カブリオレ、RS5クーペ、の計6モデル。予算が潤沢にあってA5を買おうと思った人にとっては、悩みの坩堝であるだろう。

アウディA5スポーツバック

サルーン+クーペ+ワゴンの新しいクロスオーバー、A5スポーツバック。ラゲッジ容量はアバントより10リッター小さい最大で980リッターを確保した。2リッター直噴ターボを搭載、ベーシックモデル(575万円)とSライン(615万円)を用意

とはいえ、A5シリーズの基本となるのは、美しい2ドアクーペである。FF(前輪駆動)がベースのクワトロ4WDながら、異例にきれいなシルエットに収まった。A4と同様に、このスタイルを実現するための工夫がパワートレインに施されている。

基本的にはA4と同じメカニズムをもつけれども、ドライブ中の上質感ははっきりと勝っている。特に高速道路をゆっくり流しているときの心地よさは、倍以上の値段で売られている高級グランドツーリングカーも真青だ。

5ドアのスポーツバックならまだしも、いまどきアウディの2ドア4シータークーペに何百万円も出すことは、とても勇気のいることだと思う。否、だからこそ、かえって粋というものだ。スペシャリティの純度が高まった。

アウディRS5

アウディのスポーツモデル開発を行うクワトロ社(quattro GmbH)が手がけたトップモデル、RS5(1204万円)もラインナップ。最高出力450ps/最大トルク430Nmの4.2リッターV8エンジンを搭載、0-100km/h加速は4.6秒を誇る。4WD(クワトロ)は軽量コンパクトで効率的な“クラウンギア”方式が採用された

生活のリズムを変えることなく、色彩を変える。そういう力がA5のような、実用的なサイズでかつ美しいクーペにはあるような気がしてならない。


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