「76円25銭」史上最高値を更新

円は史上最高値を更新したが、喜んでいられる更新ではない。

円は史上最高値を更新したが、喜んでいられる更新ではない

3月11日に発生した東北関東大震災は日本にとって非常に大きな損害をもたらし、その後、為替レートにも大きな変動がありました。

11日には82円台だった米ドル円レートが、震災後に円高に動き続け、3月17日早朝には76円25銭という高値をつけています。これは1995年4月19日につけたこれまでの最高値79円75銭を超えて、ドルに対する円の史上最高値となりました。

この事態を見て、日本や欧米諸国が始動。3月18日未明、日銀とG7各国の中央銀行が為替相場に円売りの協調介入を行い、レートを円安方向に押し戻すことに成功しました。大事な点は介入したことのみでなく、「我々は協調介入を行った。そして状況次第ではこれからも行う用意がある」と宣言した点で、これは為替市場における円高圧力を牽制する上で大きな意味があります。

なぜ震災後に円高になったのか?

震災の影響で、今後の日本経済は多少なりとも減速が予想されています。その材料だけ見ると円安になってもおかしくないのですが、なぜ急激な円高になったのでしょうか?

為替レートは、基本的には需給で動きます。為替市場は世界共通の市場であり、そこで円を買う人より売る人が多ければ円安になり、円を売る人よりも買う人が多ければ円高になります。震災後に円高になったのは、単純に円を買う投資家が世界に多くいたため、というのが直接の理由です。では、なぜ多くの投資家が円を買ったのでしょうか?

震災が起こると、保険会社が多額の保険金を支払う必要があります。そのため、日本の保険会社はそれまで外貨で運用していた資産の多くを円に戻す必要があります。このような円買いの動きが起こるだろうという予想、被災地域復興のために多額の日本円が必要になるための円買い予想。こういった将来の円買い予想をもとにして、多くの投資家、特にヘッジファンドなどが利益のために投機的円買いを行い、その結果、急激な円高が進行したと考えられます。

ただし、実際に日本の保険会社が震災後に外貨を売って円を買っていたという取引の事実までは、確認できていません。