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なぜ円高に?震災後、最高値更新の「謎」(2ページ目)

東北関東大震災後、円が急騰し、3月17日早朝には76円25銭という史上最高値をつけました。普通に考えると、日本経済の将来が不安になり、円安になってもおかしくありません。なぜ円高になったのでしょうか?

執筆者:All About 編集部


今後、為替レートはどう動く?

協調介入があったため18日以降は80~81円前後で落ち着いているドル円レートですが、今後はどのように動くでしょうか?

ここで参考のために、阪神大震災後の中長期的な動きを振り返ってみます。阪神大震災は1995年1月17日に起こりましたが、その後は円高が続き、4月19日には当時の円の最高値である79円75銭をつけました。

しかし、その後すぐに円安に転じ、9~10月の秋には震災発生時の1ドル=100円レベルに回復しています。その後は1998年頃まで3年間円安トレンドが続き、1998年夏には1ドル=147円の円最安値をつけました。この3年間には、1997~98年にアジア経済危機が起こり、それが円安をさらに押し進めたと言われています。

今回の東北関東大震災の後も、阪神大震災後と同様の動きをする可能性が少なからずあると予想できます。つまり、震災後の数週間~数ヶ月はしばらく円高になりますが、その後は円安に転じて、それが中長期的に続くと考えられます。

行き過ぎた円安は日本にとっていいことか?

食糧や原油などの価格が国際的に値上がりしているため、あまり大きな円安が来ると、日本国内の食品やガソリン価格が値上がりすることになり、市民の生活が苦しくなります。

一方で、すでに過去数年で相当進んできた円高がこれ以上進むと、日本の輸出がさらに苦しくなっていきます。日本はソニーやトヨタなど主要メーカーが多くの製品を輸出しているため、これは日本経済全体にとって大きな打撃になります。

それを考えると、日本にとってよい為替レートは、85~90円程度にやや円安が進んだ水準と言えます。今後為替レートがその水準に落ち着いてくることを望みます。

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