人や組織に関わる授業で重要な役割を果たす
CEOなどの疑似体験としてグループワークが果たす役割を説明しましたが、より直接的に授業と関連するのがリーダーシップ論、組織論の授業です。こうした授業では、グループ学習の過程を授業に取り入れます。同じグループで少なくとも1学期、また1年と勉強をしていくと、リーダー的な存在が自ずとでてきます。また、勉強をあまりせず、グループに貢献をしない人も目立ち始めます。リーダーシップ論や組織論の授業では、こうしたグループの人間関係のメカニズムに直接焦点をあてて授業を行っていくのです。
具体的には、グループ学習を1学期終えかけたところで、「チーム内でお互いにどの程度グループに貢献したか」「リーダーとして振舞っていたか」などをお互いにフィードバックするセッションを授業内で作ります。このフィードバックを利用し、良い点をどのように伸ばし、悪い点をどのようにチームとして改善するかの議論がなされ、グループをよりよくしていくための改善策を出すことになります。
ガイドは、INSEADでの最初の1学期間、グループワークであまり貢献をしていませんでした。英語を当初は完全にはしゃべれなかったため、足手まといになってはいけないと消極的になってしまったのです。
「組織における行動論」の授業におけるグループでのフィードバックの際、同じく英語があまり得意でないスペイン人から言われた一言が今でも忘れられません。それは、「英語ができないと思うのであれば、議論になっている事柄を人の2倍勉強をすればいい。そうすれば、英語がたどたどしいことなど、全く問題にならない。英語ができないと甘えるのはいいかげんにしろ」と。本当にその通りだと思いました。こうした気づきは、グループワークを共にしてないとなかなか得られないことだと今でも言ってくれたグループのメンバーには感謝しています。ビジネススクールでの最大の学びの1つです。
生涯の友人を得る
グループワークを通じて、日々いろいろな経営について議論をすることで、ビジネススクールを卒業した後にも助け合える最高の友人ができます。グループのメンバーは、授業がない時かなりの時間共に過ごしますので、お互いのことを私生活も含めて深く知ることになります。ガイドは、ビジネススクールの最初の1学期、同じグループのメンバーと1日平均6時間、月曜日から土曜日まで週6日一緒に過ごしていました。仕事をされている皆さんは、会社と同じと思われるかもしれませんが、密度はより濃いと思います。議論をする時はいつも一緒ですし、昼食も夕食もともにしていたのです。こうした関係を通じ、非常に仲良くなり(逆に全く口を聞かなくなるような関係も散見されましたが)、卒業し仕事をするようになっても、こちらの弱点を知った上で、違うビジネスの視点から同じ言葉で(ビジネススクールで用いられる専門用語)、アドバイスをもらえるのは非常に有益です。ガイドも多くの友人ができ、仕事に私生活に今でも大きな財産となっています。
グループワークがないのであれば、ビジネススクールに行く意味が大きく減少します。ビジネススクール生活をこれから始める方は、グループワークを最大限活用し、大きな学びを得て下さい。
<参考記事>
大学より厳しいビジネススクールの成績評価
全日制ビジネススクール生活