歯の変色や着色は自分で治せる? 歯磨きなどのセルフケアで白くできるのか
年齢を問わず多くの人が理想とする「白い歯」。しかし30代以上で白い歯を維持するのはなかなか難しいものです
しかし30代を過ぎてからも白い歯を維持するのは結構大変です。綺麗に歯磨きしていても、歯の黄ばみや着色が目だったり、歯が黒ずんだりしてしまうこともあります。いくら頑張っても自分では落とせない歯の着色や変色で特に多い3つのパターンを、実際の診療経験から順位をつけてご紹介します。
歯の変色の原因 第3位:樹脂の劣化
被せものではない自分の歯でも、歯の根元付近や歯と歯の間などに、部分的に濃い黄色か褐色に変色していることがあります。実はこれ、以前に虫歯を樹脂で詰める治療をした部分だったりします。樹脂の詰め物は、安価、操作性、審美性などのバランスがよい大変優れた材料。それでも実際の臨床では歯と色を完全に合わせることが大変困難だったり、境目の色が合わなかったり歯との段差がごく僅かに残ることもあります。段差が残ると治療後に樹脂の周りの色が黒っぽく変化することもありますが、普通に歯磨きをしていれば虫歯が進行する心配はありません。
樹脂の詰め物は多少着色があっても内部に虫歯菌がいないので、機能面では問題はありません。しかし5年程度経過すると表面が劣化して凸凹が増え樹脂そのものも黄色~褐色に変色したり、境目の色が目立って気になることもあります。
詰め替えれば綺麗になりますが、注意しなければならないのは健康保険についてです。色の問題はあくまで病気ではないので、虫歯がないのに詰め替えることは基本的にはNG。さらに樹脂の詰め物の色はあまりシビアに色を追求しても合わないことが多く、多少歯が削られることも合わせて、頻繁に詰め替えることはおすすめしません。
樹脂より耐久性の高いものとしてセラミックがありますが、詰め物はありません。セラミックは被せるかはめ込むかのどちらかで使用します。前歯などはセラミックで変色しない耐久性を求めると、ラミネートベニアやクラウン(被せもの)にするのが一般的です。
歯の変色の原因 第2位:神経を取った歯の黒ずみ
被せてもいない自分の歯なのに、1本だけ表面全体が茶色や黒褐色に変化してしまうことがあります。これは前歯などで神経を抜いたあとや、過去に前歯を強打するなどして、神経が徐々に死んでしまった場合などにみられます。神経を取った後、歯を削って被せない場合には、大体2~3年で他の歯よりも黒ずんでくるケースが多いようです。この変色は歯の内部から起こるので、ブラッシングを一生懸命しても落とすことは出来ません。変色を改善させる方法は、神経を抜いた歯に行なうホワイトニング(ウォーキングブリーチ法)を数年間隔で繰り返すか、長期間変色のないセラミックなどを被せて白くするなどがあります。
歯の変色の原因 第1位:虫歯
歯と歯の間が何となく暗い、歯が何となく黒っぽいなど、穴はないけど「何となく」色がおかしい場合は要注意! 実際の診療でもライトの光を歯の裏側でミラーで反射させ、歯を透過してくる光の色合いで虫歯をチェックしています。特に歯と歯の間は、前歯でも奥歯でも色が黒ずんできたら注意しましょう。樹脂の詰め物が変色している場合も同じように見えますが、その場合は、何年経っても黒い部分は変化しません。虫歯がある場合には、黒い部分がだんだん大きくなり、しばらくすると歯の一部が欠けて穴になります。
歯と歯の間の虫歯は、歯の内部に向かってトンネル状に進行することが多く、穴が外から見えずに歯と歯の間が若干黒ずむようにみえるのです。もし歯の変色が気になるようであれば、自分では判断できないことが多いので、かかりつけの病院で相談しましょう。歯の変色は良くあるトラブルなので、すぐに原因は判明します。
タバコのヤニや着色、磨いて落とすことは可能か
煙草のヤニや茶渋などは歯の表面の凸凹に残って着色しているだけです。ですから理屈では歯の表面に付着したものは、研磨剤入りの歯磨き粉などを利用してブラッシングすれば、落とすことが可能です。裏技的には、メラミンスポンジを小さく切って水に浸してから擦るとヤニや着色が結構落ちます。それでも表側は良く磨けても、歯石の表面が着色していたり、歯の間や裏側はブラシの毛先が入り込みにくいので完全には落ちないのがほとんどです。そのため病院などで回転器具に研磨剤などを付け、歯磨きしにくい部分をクリーニングしたり、塩の成分を吹き付けたりする専用器具を利用して落とす方が、効率的でおすすめです。