手で洗った方が安いような気がする…?

手で洗った方が安いような気がする…?

現代の白物家電三種の神器とも言われる「食器洗い乾燥機」は、21世紀に入ってかなり一般家庭に浸透してきましたが、まだ現状は30%に満たない程度の普及率だそうです。最近では価格もかなり安くなってきましたし、洗浄力等の機能も飛躍的に向上しているのに、飛躍的に普及しないのはいくつか理由があると考えられます。

まず、設置場所の問題。卓上タイプの機種の場合、かなりの場所を取るために物理的に設置が難しいご家庭もあります。次に好みの問題。機械任せにせずどうしても自分の手で洗いたいという方や、家族が少ないので手洗いで十分などという場合です。ですが、おそらく一番のネックとなるのはランニングコストの問題ではないでしょうか。

「食器洗い乾燥機は水の使用量が手洗いの1/5」などという宣伝はよく見るものの、食洗機は手洗いではかからない電気代もかかるわけだし、専用の洗剤も必要となると、いくら水の使用量が少なくても結局はランニングコストが高くなるのでは?と思われる方が多くいるようです。

この、実際のところ「本当に節約になるのか?」という部分を考えてみたいと思います。

公式データから見る経済性

まず結論から言ってしまうと、公式に出ているデータ等では、圧倒的に食器洗い乾燥機を使用した方が安いと出ています。
(財)省エネルギーセンターの「家庭の省エネ大辞典」によると、1年間のコスト差は

手洗い 23,470円
食器洗い乾燥機 14,020円
年間差額9,450円


この試算条件は以下の通りです。
給湯器(40度)、使用水量65L/回(冷房期間は、給湯器を使用しない)の手洗いの場合と給湯接続タイプで標準モードを利用した食器洗い乾燥機の場合(手洗い、食器洗い乾燥機ともに2回/日)
 
ちなみに65Lの水量というのは、水道を5分強流していると出る水の量です。
この他(社)日本電機工業会や各メーカのデータなどを見ても、金額に多少の差こそあれ、食器洗い乾燥機に軍配が上がっています。


なぜランニングコストが安いのか?

手洗いより食洗機の方がコストが安いのにはわけがある

手洗いより食洗機の方がコストが安いのにはわけがある

食器洗い乾燥機は、水を噴水のように噴射して食器の汚れを落とします。この水は庫内で循環させて使うため、非常に使用する水量が少ないのです。ですが、たしかに使用する水の量が少なくなったとしても、その水道代のみでこれだけの差が出るわけではありません。

手洗いとのコスト差が一番大きく出る部分は「ガス代」なのです。

普通手洗いの場合、夏の暑い時期を除いてほとんどが湯を使用して食器を洗っているかと思います。この湯が意外なコスト高の原因。実はお湯を使用する場合、水道料金よりも、その水を常温から40度くらいまでの湯にするために使用する給湯器のガス代の方がずっと多くかかっているのです。

例えば蛇口から出るお湯を1日1分間だけ節水した時の年間の節約効果は、水道代が1,000円、ガス代が1,980円、トータルで2,980円となります。給湯器の湯を使っている場合には節水をすることがイコール倍近い金額のガス代の節約になっているというわけです。

ですから逆を言えば、夏冬通して全く湯を使わずに真水で食器を洗っているという方であれば、食器洗い乾燥機を利用したところでたいした節約にはならないとも言えます。

使い方次第ではコスト高にも?

前項の通り、食器洗い乾燥機は水の使用量が圧倒的に少ないため、水道代だけでなくそれにかかるガス代が大幅に削減できるのがメリットです。ですが、食器洗い乾燥機には手洗いには必要のない電気代が発生します。この電気代がかかるポイントは二つ。湯を沸かす時と乾燥をする時です。

食器洗い乾燥機はお湯で食器を洗いますが、湯の温度は洗浄時には40~50度程度、すすぎの時には80度以上の高温にして使用します。そのため、食洗機内部の電気のヒーターで湯を沸かすのですが、電気を使って湯を沸かすのはかなり消費電力が大きくなります。給湯接続をして元から高めの温度の湯が庫内に入ればそれほど電気代はかかりませんが、真水をひいてしまうと一気にコストが高くなりますので気をつけて下さい。

あと乾燥時も、できるだけ短い時間で済ませるように設定をしましょう。すすぎには高温の湯を使用しますので、すすぎ終了後すぐに開放すれば乾燥をしなくてもほとんど水分が蒸発します。

食器洗い乾燥機を使用する時は、給湯接続にしてなるべく給湯器の温度を高めにすること、乾燥はなるべく短時間にすること、これらに注意すれば電気代を抑えることができます。



どちらかといいうと「手抜きのための家電」というイメージが強い食器洗い乾燥機ですが、手間も省けてコストも抑えられるなら利用しない手はありません。
コスト面で不安が残り購入に踏み切れなかったという方は、ぜひ検討してみてください。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。