スペインのバル文化を体感して 

ベンチシートの窓側に座ると、六義園へとゆるやかな上り坂が続いているのが見えます。

ベンチシートの窓側に座ると、六義園へとゆるやかな上り坂が続いているのが見えます。

東京で生まれ育ち、30か国もの旅行経験と、1年間のスペイン遊学体験を持つ李さん。10年ほど前にヨーロッパ最古の大学のひとつであるサラマンカ大学の語学クラスで学ぶかたわら、人々の日常に根ざしたバル文化を満喫。

「街のいたるところにバルがあり、店によって自慢のタパス(小皿料理)が違うので、バルのはしごをしたりするんです」

バルのようなカフェを開く構想はこのころ生まれたようです。たまたま縁のあった駒込という歴史ある土地、隠れ家めいた二階の物件にインスパイアされ、陽気なバルのテイストではなく、かねてより魅了されていたプラハの要素を加えたカフェをつくりあげました。
陰影深い迷宮へ。シュヴァンクマイエルが描くアリスの絵本シリーズ。

陰影深い迷宮へ。シュヴァンクマイエルが描くアリスの絵本シリーズ。

ヤン・シュヴァンクマイエルは私が偏愛する映像作家、ブラザーズ・クエイの師匠。悪夢めいた美しく奇怪な世界へ通じる扉を、カフェの片隅で発見するのは密かに心躍るものです。こんな扉を立てておいた人とは、魂の地下通路がどこかでつながっているのだと感じて。

もっとも、ユングによれば地底深くに潜っていけば人類の魂の通路は全員つながっているわけですが……そんなことを取材前夜に考えていたせいで、百塔珈琲の書架に『ユング自伝』をみつけたときには、ちょっと感慨をおぼえました。
淡い光を投げかけるランプが空間のアクセントに。

淡い光を投げかけるランプが空間のアクセントに。

李さんから皆さまへメッセージをいただきました。
「駒込は六義園と旧古河庭園という二つの名所に恵まれ、落ちつきのある良い街。百塔珈琲は二つの庭園の中間に位置しているので、散策の休憩にぜひお立寄りください」

そういえば桜が待ち遠しい季節。ソメイヨシノが生まれたのは、ここ駒込。江戸時代、駒込界隈は「染井」と呼ばれていたのですって。駒込駅の北口には染井吉野桜記念公園も作られていますが、なんといっても名所は六義園のしだれ桜ですよね。庭園の街、駒込。季節の風景とコーヒーを楽しみに出かけましょう。

百塔珈琲のメニューとショップデータはこちらです。